第2話

 あの人との出会いは、今日のような激しい雨の日だった。

 それは、俺が29歳11ヶ月の頃。

 嘘のような本当の話。

 少女マンガか!とツッコミを入れたくなるような。

 そんな話。


 俺は、傘を忘れて会社の前で途方に暮れていた。

 そんなときに声をかけてくれたのが、その人だった。


「よろしければ途中まで入りませんか?」


 正直俺は驚いた。

 女の人に話しかけられるのは仕事以外ほぼなかった。

 話しかけられるどころか話しかけるきっかけすら見つけられない。

 それが俺、持内もちない 隆弘たかひろ

 決して【もてない】とは読まないでほしい。

 これは、俺が生涯抱えるだろうコンプレックスなのだから……

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