第6話 記憶とアンデット族
スキルや魔法は絶対音感のように、一度獲得するとずーっと使わなくても、忘れたり劣化することはないんだけど、記憶はとーぜん時間が経つと忘れてしまうんだよね。
まして、海の寿命はおそらく、まだ179億9千万年以上残ってる、記憶物質が海の中に漂って、どこに記憶があるのか探せなくなるのは目に見えている、覚えているはずなのに出てこないってそんな感じだ。
そこで記憶物質を集めて、海流に流されないように、鉱石に張り付けていく、外部記憶媒体として海底に並べる、いわゆるマンガンノジュールってやつだこれって。
前世の、勇者だった記憶や、前々世だった地球の日本の生活の記憶を、集めては、順番に魔法で鉱石に移しこんでいく、結構記憶が海の中に溶け込んでいるから、どの順番だったかわからなくなってる。
だから海って、時々時間と空間の感覚が飛ぶ。
えーとなんだっけ?そうだ魔王が自分の手下たちを前世から呼び寄せたって話だったけ。
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ギリギリ環境に適応したシルバーリッチが、すでに死体となった魔族をアンデット化してる、さらにまだかろうじて生きている魔族も、とどめを刺してアンデット化し眷属としていく、うわっ魔族ってようしゃないなぁ。
やっぱり、こちらの世界の太陽もアンデット族にはダメージを与えてるようだ、体から煙を上げて太陽から逃げまどって、岩陰などに隠れてる、それでもじわじわと体力が削られてる。
何とか夜まで生き延びたみたいだ、いやアンデットだからもう死んでるのか、のそのそ動き出して、石を積み上げたり穴を掘ったり、昼間のための拠点を作りをはじめてる、前世の魔王城ほどではないけど砦ダンジョンのようなものを作ってる。
上位アンデットの不老不死をもってしても、アンデット族は共通して太陽の光と海が弱点で、淡水は特に弱点ではないらしいけど、海水は猛毒薬なみにダメージを受けるみたいで全く海に近寄らない、船に乗っても、空を飛んでもアンデット族は海に出ると、ダメージを受けてたちまち塵になってしまう。
さすがに不老不死があれば、長い時間かけて復活するらしいけど、灰になるときかなりの苦痛を伴うため、太陽と海である自分は天敵らしいんだよね。
アンデット族にとって、十字架や聖水やニンニクは、実は弱点ではないんだよね、人間たちの迷信と願望であって、全く平気らしい、銀の武器も弱い種族もいるってだけで、ほとんどは平気なんだよね。
そんなアンデット族は、もう増えない、なぜなら魔法陣は消えてしまったし、他の生物はまだこの星にはいないから死体から作るってこともできない。
今のうちに、さてどうしようか、また前回と同じく有機物から生物を発生させようか、それとも魔王がやったように異世界から魔法陣を使って呼び寄せようか。
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