轟け!俺のラノベ魂(スピリッツ)!

桐華江漢

第1話

「あいつにこの気持ちを……この小説の魅力を伝ないと気が済まないんです」


 淡く照らされる外灯の下で、その人物は私に向かってそう言った。


 普段、部活動でいつも見ている姿とは違う、真剣な表情でその人物は私の隣を歩いていた。固く決意しているのだろう、その目は真っすぐ前を、目標をしっかりと捉えている。


「どんなにバカにされようと、どんなに貶されようと、いつかこの小説を認めさせます」

「中々険しいぞ?」

「それでも、卒業までには必ず果たしてみせます」


そこまで言うのなら私も止めはしない。その人物の思いのままさせるべきだろう。


 今言ったように、君が定めた目標は長く険しいだろう。理解してもらうまでの距離は果てしなく遠く、はっきりとしたゴール地点が見えないものだ。どれだけ時間が掛かるかも分からない。卒業まで……いや、もしかしたら一生掛かっても伝わらないかもしれない。


 だが、やめるわけにはいかない。ここで足を止めるわけにはいかない。そんな思いがひしひしと伝わってくる。


「それで? その後はどうするのかね?」

「その後? そんなの決まっています」


 その人物は立ち止まり、大きく息を吸ってから私の目を見る。そして、はっきりとこう続けた。


 


 


 


 


「この小説の魅力を伝えられたら……○○に告白します」

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