奇跡の軌跡【そこ君】

第1話

あの日、私は何かに依存したかった。

7月

学校のテストは散々な結果で、三者懇談から帰ってきた時、ものすごく怒られた。

もちろんだ。そんなことが起こるのは予測していた。

しかし、一つ予想外のことがあった。

いつも自分の部屋にあって、唯一の楽しみであった音楽を聞くためのオーディオが没収されてしまったのである。

まさかそこを突かれるとは思わなかったのだ。

かなりショックで、とても「よし、勉強しよう！」という気にはなれなかった。

そんな時、机の横にある、しばらく使っていなかったパソコンがふと目に映った。

何気にパソコンを起動させ、検索サイトを開く。

何を調べよう…。誰かと話したいな…。そうだ、

「チャットをしよう」

本当、唐突にそう思った。

たったこれだけの出来事で、私の世界がどんなに広がったことだろう。