行間3-4 -顛倒-
「クスクス。愉快愉快。えぇ、実に愉快」
黒装束を纏う少女の姿をした
「……」
「あら、お気に召しませんか? 旦那様」
「お前は皆の行先に干渉していないと言った。あれは嘘だな?」
「フフ、何のことでしょう?」
彼女はあの時こう言った。
各々『必要な場所』へ向かったのだと。
刹那と燕儀だけを過去の御巫の里へ送り、そこで
そして
おそらく彼女は嘘は言っていない。問題はそれが本人たちではなく、彼女にとって『必要な場所』だったという事だ。
前者はおそらく嫌がらせ。刹那に対して
後者にいたってはさらに醜悪だ。
「元よりあの
あれはいわば自然現象。その本質は台風や地震と同じだ。
人の悪意がより集まり大きな力となって存在するもの。生まれた理由などなく、たまたま人間に近い意思が芽生えたに過ぎない。そんな訳の分からないものだからこそ、夢で捕らえた魂を管理する
彼女はそれを分かっていて敢えてタカオたちに道を示したのだ。
「こうなる事は分かり切っていた」
「えぇ、えぇ! さすがは旦那様。招かれざる客人達は想定外でしたが、大方
しかし――
「フッ」
「……何か?」
「確かに人間は愚かで身勝手な生き物だ。己の欲望を満たすためなら我らが定めた理さえ破壊する。その姿は醜悪に過ぎる。だが――」
彼が言葉を一度止めたのとほぼ同時に、片方の
「何……ッ!?」
亀裂が生じたのは刹那達がいる方だ。大昔の
「忘れたのか? 我らはその『人間』に討ち滅ぼされたのだぞ?」
次の瞬間、一つの
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