行間3-3 -不可逆-

 ――目に映る全てを屠った。


 ドス黒い衝動に駆られ、容赦なく命を奪う感触。

 まだこの手に残っている。


(……俺は、何を……)


 一度標的を定めれば、後は勝手に体が動いた。

 その瞬間、爪先から髪の毛一本に至るまで全てが殺戮に特化する。


(……ッ、そこに誰かいるのか……?)


 相手をいかに効率的かつ徹底的に破壊するか。頭の中はそんな考えでいっぱいになり、それ以外の余計なものは一切排除される。


『……』


 躊躇いは一切無くなっていた。

 だから簡単に一線を超えてしまう。

 だから簡単に引き金トリガーを引ける。

 それが例え、もう後戻りの許されないものであっても。


「お前、は……ッ」


 まるでそこに、がいるみたいに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る