行間2-1 -最悪で最善の選択-

『カイン……ッ、カイン・ストラーダ!!』

「……」


 まただ。

 まだ、この夢は終わってくれない。

 あの日……あの瞬間、自分の選択は正しかったのかと、他でもない自分が答えを探し求めているから。


「……」


 最高ではなかった。

 ただ、最善だっただけだ。

 だから――


『私は……』


 後悔こえが――


『私は……ッ!』


 懺悔こえが――


『私は、認めない…………絶対にお前を――』


 爪を立てる。

 炎のような激しさと、氷のような鋭さで以て彼の背中を抉る。


「……ッ」


 振り返らない。

 振り返れない。

 そんな資格、自分にはない。


「……チッ」


 背後から聞こえる、血を吐くような絶叫。

 それが求める答えを、まだ青年は持ち合わせていないのだから。

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