022 午後のひととき
「さて、残りもちゃっちゃと終わらせて気持ちよく帰るぞ!」
お昼から戻り、残っていたものを始める段になって、急にジンさんがハイテンションになったのだがどうしたんだろ?
「えーっと、午後は、何やるんでしたっけ?」
「
うーん、ワード、エクセル、メールソフトはやったから、あとはー……あ、
「PowerPointですね!」
「正解。やっぱり若い子たちはいいよね、頭の回転が速くて」
「そんなことないと思いますが、で、何で一番厄介なんですか?」
PowerPointぐらいなら、ふつうは使えると思うけど。むしろ、エクセルの方が難しい気がするけど?
「ああ、それはな、このアプリを作ったのはいいんだが、ボタンでの操作の方が簡単だろうってことですべてボタン操作になったんだ。それでな、ちゃんと使える物にはなったんだが、ボタン操作がめんどくさくなって」
「使う人が少ないんですか?」
「その通りになっちゃったんだよね」
ちゃったって、それって、
「需要ってあるんですか?」
「ない。皆無です」
即答。
「いいんですか!?それって」
「まあ、なっちゃったものはなっちゃったで仕方ないよね」
「仕方ないで通ったのかな……」
このとき直次は、ジンさんの、やちゃいました的な話のときはできるだけ無視しようと心に決めたのだった。
PowerPointみたいなものの講習も終わり、帰りの支度を早くも始めている人が多いこの時間。僕は食堂に呼び出されていた。あのエリナからだったが何かあったんだろうか。
「ごめーん、待った?」
待ってないわ!つか、なんでこいつと会話してるとイライラしてくるんだろうか?
「今来たばかりだ。ところで、なんのようだ?」
「うっうん」
咳払いせずに早く本題に入れよ。
「明日から、特任室に新しく二人が入ります。一人はジンさん。もう一人はカジ君です」
「誰だカジって?」
「まあまあ、そこは置いといて、ジンさんはゆうまでもありませんが、カジ君は腕がいいです」
「そうか、でもなんでわざわざ俺に言うんだ?」
「……」
何も言わないところを見ると、独断でやってるっぽいな。
「はあー。これ以上ようがないなら帰らしてもらうぞ」
なんで俺みたいな高校生に言ってくるんだ。ほかの上の方のポストにいる人はわかるが、なんで……
「彼は、あなたと同じ高校生です」
んだと、俺と同じ高校生のやつが入って来たのか?
「そして、あなたより年下です」
嘘だろ。俺よりも才能があるってことか?
「それでは、明日から、入ってくる子と有効な関係を築いてくださいね。岡野航平くん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます