012 帰り方 パート2

「と、とりあえず、気を取り直して、カジくん、帰ろっか」

「わかりました」

「んじゃあ、また明日。待ってるからな」

「必ずきます」


ということで、ジンさんとは別れ、エリナさんと帰ることになった。


「ところで、エリナさん」

「このビルって、見かけこそ昔ながらのビルって感じですけど、内装は、かなりハイテクじゃないですか?」

「確かにねそうね」

「で、どういう構造になってるんですか?」

「1階がロビーなのは知ってるわよね」

「はい」

「2階から8階までがワークスペースで、9階が、食堂よ」

「へー、あれ、じゃあ、この地下にある、3っつの階はなんですか?」

「一番下に、各階ごとのブレーカーのようなものがあって、残りの2階分が駐車場なの」

「へー。やっぱり、見かけでは判断しないほうがいいということですね」

「そゆこと。ちょうどついたわね。じゃ、車に乗り込んで!」

「今朝みたいに飛ばさないでくださいよ」

「今朝は、ギリギリだったからね、ついね」

「そうなんですね」

「それに、話をしながらだと、スピードは出せないからね」

「よかった」

「じゃ、私が一番気を使っている公道に出るまでは、黙っててね☆」

と、ウィンクをした後、エリナさんの目の色が一瞬で変わった。

すると、いきなりスイッチが入ったかのように、車が動き始めた。(てか、運転テクニックがすごすぎて、ちょっと怖いんですけど)

そう思っていたら公道に出た瞬間、(ほとんど車がなかったせいもあるのだが)エリナさんが行きよりも早いスピードで車を走らせ始めていた。


「エリナさん?」

「舌噛むわよ☆」

と、言われたので、歯を噛み合わせたまま言葉を発してみたら、

「警察につかあらないんですか」

と、なってしまった。

「大丈夫。ここら辺には警察はいないから。問題ないわ」

「オンダイデショ!」

「もぉーちょっとでつくからね」



「大丈夫?飛ばし過ぎちゃったかな……」

「大丈夫です、多分」

言葉通り、ほんのちょっとでついたのだが、急停止したので本当に酔いそうになった。

「あ、そうだ、そこのカフェに入りましょ。おごるから」

とりあへず、水が欲しかったので、

「わかりました」

と答えてしまった。


「とりあえず、ドーナッツでも選んでね」

ということで、ミスドに入った。(maziceroからのカンペが来たので読みます。

「ミスドは、ミス ドーナッツの略です。」なんだそうです。)

ということで、黒糖ポフポフリングを選んだ。

「さて、落ち着いたところで通勤についてなんだけど、サンちゃん!」

「はい、ご主人様」

なぜか、羽が生えて手のひらサイズになったサンちゃんが出てきた。

「1日ぶりだね。ナオツグー」

「どこから出て来たの?」

「この人魔法使いなの」

「えっ……」

「ああ、あまり人には言わないでね。私のうちは、古くからの精霊使いの家柄なの。サンちゃんは、私の契約している女神なの」

「へー」

驚くべきことなのだろうが、驚けない。(だって、理解するとか、そういう次元を超えてるもん)

「ちなみに、サンちゃんはネットの回線にも入り込むことができる特殊な子なの」

すると、サンちゃんが、

「私は、なんでもできるのです」

と、腰に手を当てて自慢して来た。

「で、話を戻すけど、あそこに行くのってかなり時間がかかるのよね。そこで、毎日私が送迎するか、歩いてくるかどっちを選ぶ?」

「ちなみに、ご主人様に送ってもらうと最短で7分、ご自身の足で歩くと早くて30分かかります」

「えーっと、普通のスピードで走った場合は、なん分ぐらいかかるんですか?」

「15分ぐらいかな~。どう、サンちゃん」

「そうですね~。記録という記録が、10分かかってないので、どうとも言えませんねー」

「あれ~、そんなに飛ばしてたっけ?まぁ、いいかな。で、どうする?」

「とりあえず、……」

「「ゴクッ」」

「ドーナッツ食べましょ」

ズコ

エリナさんは髪が少し乱れ、サンちゃんに至っては手を伸ばしてこけている。

「そういうとこあるわよね、知ってたわ」

「だって、せっかくあったかいドーナッツが冷めちゃうじゃないですか」

「はー……。まぁ、いいわ」

と、呆れられてしまった。

「ところで、サンちゃんってこんなに堂々と見えてていいんですか?」

「私が指定した人じゃない限り見えないから大丈夫よ」

「便利ですね」

「さて、で、どうするの?」

「できれば送ってもらいたいんですけど……」

「けど?」

「もっとスピードを落としてもらえませんか?」

「ああ、そのことね。それぐらいならお安い御用よ。ただ、日によってはどっちかが遅れたりするかもしれないから、番号を交換しておきましょうか」

「大丈夫なんですか?番号を交換しちゃって」

「あ~、そう言えばまだそっち入ってないのか……。番号の交換は明日になっちゃうわね」

「どういうことですか?」

ちょっと疲れた顔で、

「サンちゃん、お得意の説明お願い」

と言うと、そんなことは御構い無しとでも言うように、

「わかりました」

と、敬礼をし始めた。

すると、

「直次くん、IPLUSを出してください」

と言い始めたので出してみると、……?

「なんか変な画面が出て来た」

「変とはひどいですね。とりあえずそのままで、電源を切らないでいてください」

「もし切っ……」

「それをしたら、精霊の方々の力を借りてあなたを死の直前までご案内するのでご注意ください」

「わ、わかりました(死の直前って……)」

「それでは案内を開始します」

と、言うが早いか、IPLUSの画面に入り込んで中で動き回り始めた。動き始めた!?

「カジくん、音量を上げてみて」

と言われたので上げてみると、

「マイクテスト、マイクテストあーあーあーあーあーあー」

「サンちゃん、聞こえてるわよ」

「あのー、この音声って、周りの方の迷惑になりませんか?」

「大丈夫です。この音声も、ご主人様が指定した人にしか聞こえない設定になっています」

「ほんと、便利ですね」

「さてっと、まず、あの建物の中では、端末の表示が圏外になっていたはずです」

「確かに」

「つまり、使えるのは、パソコンだけです」

すると、画面にスライドが現れた。

「もちろん、情報を持ち帰らないようにするためでもありますが、建前は端末の電波を傍受する装置を持っていないことになっているこの国も、そういう類の装置を持っているからです。そのため、国の機関の人たちは、万が一持って帰ったとしても傍受されないようにする必要が出て来ました。なので、とくしゅなコードによって傍受されないようにして来たのです。わかりました?」

「わかりやすいスライドが言葉足らずを補ってくれたおかげで、ヒジョーにわかりやすかったです」

すると、IPLUSから出て来て、

「というわけで、明日、携帯にコードを打ち込むので、今日は無理です」

といわれた。

「じゃあ、待ち合わせの時間はいつにする?カジくん」

「そうですねー、8:30は、どうですか?」

「わかったわ。乗るのは、今朝と同じ場所ね」


「今日は、ごちそうさまでした」

「それじゃあ、また明日」

ということで、エリナさんと別れて、家に帰ることになった。


ただいまの時刻 6:20

To be continued……

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