011 帰り方 パート1

-20分経過-

あれから、10回程度かけているが、一向につながらないらしい。

「もしもし、こちらは、カスタムの秘書、エリナの回線です。ただいま、電話に出ることができません。この後の発信音に続いて伝言をおっしゃってください」

「ガチャン!たく、なんで繋がんねーんだ。もう一回」

と、半ばキレ気味に掛け直し始めた。

「もしもし、カスタムの秘書、エリナの回線です。どなたでしょうか?」

「やっと繋がった。ジンだ。カジモドについてだが、なぜか帰り道を知らないらしいのだ。どうするんだ?」

「ジンさんだったんですね、さっきから何度も何度も電話中にかけてきた人は」

「すまんな。でだ、カジモドの帰りについてなんだが……」

すると、

「あー、すみません、送っていきます、道中で、行きと帰りについて伝えておきます。とりあえず、デスクのところにいてください、今から行きますね。ガチャン」

と、焦り気味に言われた。

「ふー、なんでこうも慌ただしいんだか。今から迎えにいくからデスクで待ってろだってさ」

「わかりました」

ということで、待つことになった。


-10分後-


「まだ来ませんね」

「そうだな。もうちょっと待ってみるか」

と、いうことでさらに待つことに。


-さらに10分後-


「ババヌキでもするか?」

「してましょうか」


-さらにさらに10分後-


「3戦3勝しちゃった……」

「3戦3敗だなー……」

「じゃあ、もう一戦しましょうか」

「もう負けたくないんだが……」

「にしても遅いですね、エリナさん」

「たく、mazicero、早くエリナを登場させろよ。にしても、そうだなー、多分仕事をやってると思うぞ」

「なんでだー……」

「あの人はなー……仕事を見つけたらやっちゃわないと気が済まない人なんだ。だから、30分オーバーぐらい気にしてもダメだよ」

「そうなんですね。あっ、噂をすれば」

「すみませーん。カジモドくん、待った?」

「いえ、……まぁ、待ちました」

「ごめん。仕事を片付けようとしてたら、遅くなっちゃいました」

「やっぱりかー。おかげで、ババヌキで3敗するはめになったんだぞ」

「なんでやってたんですか?」

「遅かったから」

と、ジンさんが。同時に、

「エリナさんが来るのが遅かったから」

と、僕まで言ってしまった。

To be continued……

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