005 過去への思い

今までのハッカーや、プログラマーは、この仕事の大変さをすぐに感じ、この仕事を辞めていった。職員も、今までの仕事よりかなり大変なため、そうでなくとも、ここの職員は専門分野以外はあまり得意ではないため、この課が設立してから3ヶ月の間に転属したいと言う申し出をして来た。もちろん、配属は、どんどん変えていった。

今では私を含めて、23名だ。




「コンコン。失礼します、カスタム様、彼を連れて来ました」

「どうしてください」

「失礼します。さぁ、入って」

「失礼します。えーっと、僕は、ナ」

「本名をいうのはよしてくれ。このご時世だ。どの電子機器がハッキングされているか、どこに盗聴器があるか、どこに隠しカメラがあるかわからないですからね」

「すみません。では、なんと呼ばれればいいのですか?」

「では、コードネームを先に決めましょう」

「あなたは、どんなコードネームがいいの?」


と、秘書さんに聞かれた。どうしよう、ただでさえ緊張してるのに、……。考えて来たのが、思い出せない。えっと、なんだっけ、カジモドだったかな。


「えっとー、カジモドでもいいですか?」

「エッ、ほんとにいいの?カジモドの意味は、''できそこない''だよ」

「構いません。原作を、学校の読書感想文を書く時に読んだので」

「分かりました。では、後ほど、認証用の資料採取を行うので、エリナに連れていってもらってください」

「かしこまりました。それでは、私は外で待機していますね」

「よろしく」

「ガチャ」

「さて、これでようやく重要な話ができる。さて、カジモドくん、ここからは、国家機密に関わることだと思って構わない」

「僕から聞きたいことは、色々あるが、本当に、この仕事を引き受けてもらえるんだね」

「はい。僕のようなものの力でよければ」

「あー、だから、カジモドなんだな」

「はい。ところで、なんでそんなことを聞いたんですか?」

「はっきりいうと、ここの仕事は、かなりきつい」

「で、なぜ……」

カスタムさんに、手で制された。


ハッキングや、プログラマーなどが扱う情報関係のものを、サイバーセキュリティと言う。もちろん、簡単なものもあるが、はっきりいって、難しい。大変だ。でも、僕は、そこから、カジモドのように籠の中から出て青空を見たかった。

あの頃のようにはなりたくない。あんな、辛い過去など……。

そんな時に、自分を解放してくれたのが、この世界だ。



この子は、この仕事を受けようとしている。でも、同時に、辛い過去を思い出したような顔をしている。どんな過去なのかは知らないが、受けてくれることはとても嬉しい。でも、本当に、大丈夫だろうか?それが本当に、心配だ。

To be continued……


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