004 通勤の仕方

翌日、8:30ぐらいに家を出て、神保町に着いた。


「ンナァ~、朝は、気持ちいねぇー」


気持ちいい古書の匂いと朝日のおかげで、思わず、伸びをしてしまった。にしても、東京にずっと住んでても、知らないことがあって、ちょっとびっくりしている。(

と言っても、まだ16歳なのだが。)

しばらくして、黒いスーツでサングラスをかけている、30ぐらいの人が来た。緊張するとともに、「ヒールの音スゴッ」と思ってしまった。(だって、地面が石畳のせいか、はたまた、かかとに力を入れているからかわからないが、カッ、カッ、カッ、って、すごい音してるんですもん。)

そして、数秒後に、つまづいた。あまりにも、あの女の人のオーラと、この状況がマッチしていないので、思わず笑いそうになった。


「君」

「僕ですか?」

「そう。山下直次君でよかった?」

「確かに、そうですが……」

「?」

「国内電子情報管理局の、えーっと……」

「国内電子情報管理局の電子書籍消滅対策課でしょ?」

「はい。……ってことは、あなた、そこの職員なんですか?」

「はい。何か?」

「よく覚えてますね?」

「一様、カスタムの秘書を務めているので……。他に、何か?」

「あっ、その~」

「?」

「職員の方たちは、コードネームで呼び合うんですか?」

「そうですね。ハッカーなどもいるので、文書化されるときにも、コードネームを使います」

「もちろん、入退室用のカードや、職員の個人情報のところには、コードネームは書かれていないので、バレることはありません」

「そうなんですね。''カスタム''って、最初に聞いたときなんか、

「外国人かな?」って、思ったんで」

「そうですよね。私も最初に見たときは、ビビりました。アッ、ヤバッ、時間がありません。車が近くにあります。きてください。」


ということで、秘書さんの車に乗ることになった。しかも、綺麗な、スポーツカーだ。


「ちょっと時間がないので、飛ばしますね☆」

「はっ、ハイ」


今すごくイイ笑顔で、秘書さんが微笑んだ。コワイ。ガチで、コワイ。なんか、悪い予感しかしない。そもそも、すごく親しみやすそうなお姉さんだと思っていたら、スポーツカーとか持ってるし、本当に、コワイ。


「シートベルトしっかり締めてね。飛ばすよ!」



やっぱり、嫌な予感ほど当たるものだ。

その後、約10分間、神保町の奥地にあるビルに着くまでの間、速度制限を軽く超える速度で飛ばしたスポーツカーに乗っていたのだった。

To be continued……

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