私の声は
雨月 秋
私の声は
雨の降る独りの帰り道
「さよなら」って、
友達には、さっき、一生の別れを告げました
明日の再開を期待して、告げました
そんな風だからきっと独りが寂しいんだ、って
そんな風に気づいたときには、もう遅かった
今日の友達は、もう遠くに行ってしまっていた
つばを飛ばしてしゃべる人がいます
それを清潔だとは思いませんが、
かと言って、
それを不潔だとは思えません
そのつばの中に、
伝えたいけど伝わらない言葉が溶け込んでいる
そう思うと、どうしても不潔だとは思えません
温かいもので満たされたくて、
お白湯を飲んでいるとき
温かいものに包まれていたくて、
長風呂しているとき
私は、ため息を吐く
コップの中、お風呂の中
私の本当の気持ちは透明な色をしている
とある日の、オレンジ色の公園のすみ
私はベンチに座ったまま、ブランコで揺れていた
「明日、嫌いなやつのところに雨よ、降れ」
裸足にはならずに、サンダルを飛ばした
そしたら、夕立雲が私の空っぽに立て込んだ
ばちが当たったんだ、ばちが当たったんだ
馬鹿にしてきた思い出たちに馬鹿にされる
駆けた足跡が水切りみたいになっている
だとしたらきっと、私は川の上に生きている
(みんながいるところには上がれないのかな)
雨宿りできる場所を探して、走っていた
マンホールの中 雨と雨の隙間
穴の空いた屋根の停留所 あの空の向こう側
どれも、私にお似合いなくらい、不似合いだ
私の声は 雨月 秋 @Rhyth0606
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