第3回カクヨムWeb小説コンテスト(異世界F・SF現代F)

 皆さんこんにちは、あさかんです。


 前回に引き続き第3回Webコンの具体的なレーベル編集部の狙いをジャンル別で考察していきます。


 それでは特設ページ内の部門別で書かれているメッセージを読んで行きましょう。


 基本的にこのメッセージは各レーベルからアンケート形式で募集したメッセージではないかと思います。


 だからこそ、文章別で比べてみると多少矛盾しているんじゃないか?と思う部分も多く感じられます。 


 ですので、いくつか連なっているメッセージを全て真に受けるのではなく、重要なものを拾い出さねばいけません。


 概ね、『具体的』に書かれているものは重要だと思って間違いないでしょう。


 まずは、異世界ファンタジー部門です。


『10代の男性が主人公で、物語の最初から最後まで成功・勝利する場面や楽しいシーンなど、盛り上がりの連続で続いていく、読んでいて気持ちのいい作品を求めています』


 初っ端から超具体的に書かれていますね。かなり『本気』が見えています。つまり『このような作品が欲しい。こういうのを取るつもりだ』というメッセージです。


 しかも、この文章は今の売れ筋の流れをキチンと汲み取っている要望です。


 以前までの冒険活劇やバトルものと言えば、様々な苦悩があり、その苦境を必死の努力で乗り越え最終的な勝利を手にするといった王道パターンがありましたが、現在主流でHITしているのは、主人公があの手この手で勝ち尽くすという、その気持ちの良さを前面に出した作品が多いのです。


 そして10代特有の多感さやういういしさが、それらをより魅力的にするというわけですね。


 異世界ものを書こうとされていて、どういうものを書くのか定まっていない方はこのメッセージを参考にするのをお勧めします。


 ちなみにこの3つ後のメッセージを見てあれ?って思われた方も多いのではないでしょうか?


『俺TUEEE的な主人公は非常に流行しており、とても人気のある要素ですが、応募作にはその型枠にはまらない、オリジナリティのある主人公像を求めます』


 先のメッセージにあった『物語の最初から最後まで成功・勝利する場面』って俺TUEEEにならないの?


 そうです、このメッセージはザックリし過ぎていて具体的ではありません。ですので余り深くは考えない方が良いでしょう。


 恐らくは2番煎じになりすぎないようにと言いたいのでしょうが、言葉足らずなのは否めません。


 何故かというと『俺TUEEE』というのはキャラ要素の一部分でしかないからです。例えばツンデレキャラが大流行した時に、もう掘りつくされた感満載だったのにも関わらず、今までに見たことのない強烈なツンデレキャラをヒロインにして大成功された作家様がおられます。


 つまり、『俺TUEEE』であれど、多種多様なエッセンスを加えればまだまだオリジナリティ溢れるキャラが誕生する可能性が十分にあるのです。


 そう考えると、このメッセージには『本気度』が感じられないことがわかると思います。


 

 他のメッセージは『主人公がアラサー・アラフォー男子、または社会人の女子で』など具体的に年齢や性別を書いているところから、読者層を狙い撃ちしたいという部分が見えます。


 それに対して『男女問わず読める作品を希望します』という、ザックリしたメッセージはスルーしましょう。


 多分、女性でもワクワクできるような異世界ものが欲しいという内容なのでしょうけれど。女性だって読むことくらいはできますぜ?



 さて、次にSF・現代ファンタジーのメッセージに移りましょう。


『現実世界と異世界を行き来したり、現実世界とファンタジー要素が融合している「日帰りファンタジー」作品を募集します』


 まずはこの文章ですね。


 日帰りとは言え異世界と銘打っておきながら、現代ファンタジーで募集するとはこれ如何に。


 私が察するには『異世界ものは売れる』←これに尽きると思います。


 部門別にしている所為もあって、同部門からは大賞をひとつしか出せませんが、「日帰り要素のある異世界ファンタジー作品』を現代ファンタジーで登録して貰えれば、SF・現代ファンタジー枠からもう一つ大賞が出せるという思惑でしょう。


 ここら辺から、レーベルサイドの狙いは『売れる異世界もの』だということが大体読み取れます。


 逆に、SFで勝負するのは相当なレベルの作品でなければハードルが高いことが解るかと思います。


 次のメッセージはかなり文字数が多いですね。


『10代の男性が主人公で、これからの「新しい王道」を形作るような、まだ誰も読んだことない作品を求めています。

※過去のベストセラーなどを参考に、今まで「王道」とされていた物語の良さ・強みを分析した上で、それらを更に現代風にアップデートするとしたらどうなるかを考えて、あなただけにしか書けないオリジナルに挑戦してみてください』


 ここまで書いているとなると、本気っぽい感じはします。ただ具体性が無いので読んでいる方は『結局どうすれば良いの?』ってなっちゃうかもですが。


 私的にこのメッセージを読み解くとすれば、ロボットものに例えれば昔の作品は『ロボットに乗って敵と戦うことが中心の作品』が王道だったのに対し、その後の王道は『ロボットを乗ることで周囲に与える影響や変化を描く作品』が王道になったというようなものではないかと考えます。


 自分で書いていながら何言ってるんだ?と思っちゃいましたが、つまり、今現在の『異世界もの』は『異世界での出来事を面白おかしく描く作品』が王道ですが、これからは『異世界という要素を加えることで主人公の周囲に与える様々な影響や変化描く作品』へと進化するのではないでしょうか。


 もう少し具体的に言うと、異世界との交換留学とか、出張先が異世界だったとか、異世界合コンとか、婚活とか……etc、王道の王道たる魅力ある要素を分析して吸い出したものを現代風にアレンジしてみるという感じだと思います。


 

 その他のメッセージもザックリとしたものも多いですが、恋愛要素が欲しい、エロさも歓迎など、具体的に書かれている部分がありますので、是非一度目を通して自分の中に落とし込んでみてください。



 全ての要望を活かした作品にするのは無理ですが、特設ページのメッセージの中で自分が共感できる(読みたいと思える)ものを拾い出して、意識的にその方向性を作っていけば、レーベルサイドが欲しているものに近づくのではないかと存じます。

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