四作目、ルカによる福音書偽典を読んで

 偽教授様の作品、ルカによる福音書偽典を読みました。


 いやぁ……言葉が出ません。


 あらすじとか書くのも憚られるレベルです。

 それでも、感想を書くのが今回の私の作品。

 頑張ります。


 まずは、あらすじを。


 ネグレクトの末に衰弱死した少女ルカは、謎の声に導かれ、異世界へと赴く。その世界で、彼女は、神の福音を説き始めた。


 一方、ルテファニアの王子であるカイは、聖なる槍の導きによって勇者となり、国一番の魔導師であるリーラ・メスメルとそしてルカを連れ、魔王を討つための旅に出ることになる。


 ……はい、作品のあらすじをそのまま引っ張ってきました。

 上記の内容は第一部の内容であるのですが、一見すると宗教関係を少しだけ交えた普通の異世界転生系ファンタジーに見えます。


 その時点で騙されてますよ。


 まず、ルカの死より始まり(辛い)王子との出会いや生活が綴られ、そして魔王退治に旅立ちます。

 その旅路は終始不穏な、そして爛れた気配を感じさせています。

 それでも、旅は順調に進み、魔王と対峙して……決着の後に第二部へと話が進みます。


 第二部は救いが無く、陰鬱な空気を感じさせてくれますが、言うほど読むのは辛くありませんでした。


 そして、まるで方向性の違う第三部。

 登場人物たちの名前から、一部二部を読んできた読者にはある程度結果が分かって居ながらも、その空気は明るく、一服の清涼剤とも言えました。

 が、それも第三部の終わりが近づくと、何とも言えない虚脱感を覚えます。


 そして、フィナーレ。

 繰り返されながら僅かに違う情景、そして最後の第∞章∞節。

 言葉が出ない余韻に包まれながらも、幾つもの感情が胸の中でせめぎあい、それが落ち着きを取り戻したので今感想を書いています。


 正直に言えば、登場人物はかなり悲惨な境遇であったり、不幸な目に合ったりします。

 ですが、淡々と綴られているおかげで、読み切る事が出来ました。

 勿論、この先どうなるのか、この意味はどういう事なのか、等色々と気になったから読み進めたのは言うまでもありません。


 異世界転生、その意味を問いかける私には、一つの答えが提示されたようでした。

 この異世界転生ファンタジーは、この作者様にしか書けないであろうと確信しております。

 少なくとも、私には決して書く事の出来ない作品です。

 ぐうの音も出ないとはこの事であり、今は悔しさや劣等感すら覚えません。

 ただただ感心し、物語の余韻に耽って居ます。


 もし、異世界転生系を読んだ事が無いか、毛嫌いしている方が居るのならば、一度騙されたと思って読んでみてください。

 話はハードです、しかし、最後まで至れれば救いはあります。



 これ以上は、感想を書くのは難しいですね。

 読んで確かめてください。

 人様の作品に感想を付けようなどと、自分は随分無謀な試みをしているのだと、改めて気づかされました。



 だが、最後までやり切りますよ。

 参加してくださった方々と、読んでくださる方々と、自分の為に。


 それでは、次の作品は……7.鬼灯朔様、参加作品は『貌の無い仏』。

 読み進めていきたいと思います。

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