三作目、ドラゴニック・グランガルドを読んで
こたろう様の作品、ドラゴニック・グランガルドを読みました。
異世界に転移物ではありますが、懐かしさを感じさせる王道ファンタジーです。
世界観がしっかりしており、ゲーム的な要素は皆無ですので、流行りの異世界転移物とはまた違ったテイストであります。
90年代頃のラノベの様な雰囲気とでも言いましょうか……。
まずはあらすじを紹介します。
主人公である
それは、ある種の契約であるのか、凛音たちは竜たちの理想郷ドラゴニック・グランガルドへ転移していた。
空から望むドラゴニック・グランガルドの美しさに凛音が心打たれた所から物語は始まります。
彗星に乗り来る救い主、その伝承が凛音達と竜人であり守護者の任を持つ巨漢のガンダーとの出会いを生み、初っ端からサンドドラゴンと呼ばれる地竜との戦いを引き起こします。
屈強なガンダーですら太刀打ちできないサンドドラゴンを、凛音はルーンと一体化する事で容易く打倒したかに見えましたが……。
狡猾なサンドドラゴンの不意打ちに、絶体絶命のピンチを迎え、そして力の暴走を引き起こします。
結局、凛音の暴走は、サンドドラゴンを屠る程度で力尽き、大事には至らずに済みました。
しかし、一部始終を見ていたガンダーは、伝承の救い主とは、ただ人々を救う存在では無く、そして力を振るだけの機械でもない悟り、凛音を正しく導こうと決意をするのでした。
その後は、ガンダーの住まう村で竜人たちとの交友を深めながら、畑仕事で基礎体力を養い、数か月の月日を過ごした凛音。
多くの出来事や事件が凛音を鍛え上げていく一方で、彼の弱点も浮き彫りになります。
ドラゴンは殺せても、人を殺せないのです。
だが、人を殺せねば何れは凛音はルーン共々死ぬ、そう考えたガンダーは荒治療の為にある仕事を請け負い、それは成功したかに見えましたが……。
以上が最新話までのあらすじです。
異世界転移系であり、主人公は最初から力を持っていますが、それを生かし切れるほどの基礎はなく、当然ながら人を殺す事だってまずできません。
そして、そのあり様こそが主人公に共感が湧くのだと思うのです。
WEB小説はストレスフリーが良いんだとか言って、葛藤も何も無いのは大きな間違いではないでしょうか?
そんな事を考えさせてくれる作品でもあります。
さて、最新話『異変 PART5』まで読んだ感想ですが、まずは兄貴分とでも言うべき導き手ガンダーの存在は大きいですね。
全てを知っている訳では無いですが、一般的な世界の常識は心得ているし、何より気持ちの良い男です。
不器用ながら、彼なりに凛音を導こうと必死に行動しており、実に好感が持てます。
それだけに最新話付近での、あの判断とその結果が彼の心に大きく影響を与えそうで不安……。
それに人が斬れない凛音が、人を斬っても大した煩悶を抱かなかった事、そして続く残党狩りでのあのあり様で、見ている私の方も大きな不安を抱きました。
脆さなのか、或いは心の内に何かを飼っていたのか……。
底抜けの善人とあらすじに書かれている所も、深読みすると怖いですね。
そして、現れた幼き邪竜と仮面の竜人。
その存在は、事前に語られていましたが、遂に最新話にて凛音と対峙する事になりました。
物語は大きなうねりを上げて進んでいく、そんな印象を持ちます。
戦闘描写は流石でありますね。
私は作者様の別の作品を拝読しておりましたが、その時から感じていた戦闘描写の凄味は健在です。
竜との戦いも、対人戦もしっかりと描き分けが出来ており、説得力があります。
まさに脱帽です。
また、日常パートと言うべき、基礎体力作りの畑仕事や水汲み、それに対する凛音の不満と、それでも止めない理由。
交友を深めた竜人たちとの日々が、少なからず凛音に影響を与えていくのが良く分かります。
そして、
難点と言うか、WEB小説向きではない点を挙げると、改行が少なくスマホなどでは読み辛い点でしょうか。
WEBだろうが、何だろうが好きな題材を書き、発表するのは良い事ですが、読み手側の事も考えて、少し行間を開けるとか必要かもしれません。
簡単ですが感想は以上です。
……何と言うか、当たり障りのない感想ばかりで申し訳ないのですが、あまり悪い点を挙げるよりも、良い点を挙げてしまいたくなる性質なので、その辺はご了承ください。
まあ、軋轢を避ける腰抜け、なのかもしれませんがね。
さて、次回に感想を書く作品は……3.偽教授様、参加作品は『ルカによる福音書偽典』。
偽教授様の作品は時代物はのんびり読ませて頂いてますが、ファンタジーは手を付けておりませんでした。
しっかり感想を書けるかな……。
明日は仕事の絡みで忙しいので、更新は24日以降になると思います。
あ、『ドラゴニック・グランガルドを読んだキロール』は、今日の夜には更新します。
思う所が色々あるので、ちょっとだけ時間を下さい。
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