第8話 生意気な女を口説く

 みんなが、俺の車を見て笑っていたが、ローラだけは笑わなかったんだ。ローラの家は金持ちでローラは小さな頃からクラシックバレエを習ってた。コンクールに出場して賞なんかもとってたんだ。ローラは顔が小さくてスタイル抜群だった。ダンスを習っている女特有の生意気さと気の強さが魅力的な女だったのさ。学校ではダンス部にも所属していて、発表会ではいつも真ん中のポジションだった。当然、男達にも人気があったぜ。


 チェルシーは、ローラが気にくわないらしく、いつも悪口を言ってたが俺は結構気に入ってたんだ。なかなか近づくことも出来ず、話すチャンスがなかったが、今学期は、数学のクラスが一緒で頭のよかったローラは、俺に宿題の答えを教えてくれたんだ。


「ロバート。大変だったみたいね。女は怖いから悪いのに引っかかっちゃダメよ! 」


「お前みたいな女なら、最高なのにな! 」


 ローラの瞳を見ながら、決め台詞を囁いた。大抵の女はこの台詞でうっとりした目で俺を見る。


「あら、私と付き合いたいの? そうね……チェルシーと別れたら付き合うことをあげてもいいわよ」


 ローラは、片方の口角を引き上げながらうっとりした目をするどころか俺を見下すように艶めかしく言いやがった。こんな生意気な女は、初めてだ。俺はそそられた。


「ローラ。今の言葉忘れるなよ。お前みたいな女は、はじめてだぜ! 」


 ローラは生意気そうなキリッとした目で笑ってた。俺は、お前が欲しくなった。チェルシーは、都合のいい女だったが、そろそろ潮時だとも思っていたから、丁度いいぜ。


 俺は、隣の席に座っているローラの顎を引き寄せ先生の目を盗んで軽いくちづけをしたんだ。


「ローラ、約束のキスだぜ! 」


 ローラは、生意気な目をしてにっこり頷いてたぜ。まわりのやつは、羨ましそうに俺たちを見ていた。

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