第9話 都合のいい女

 俺の仲間にジョニーという男がいた。こいつもチャラい男で女と遊ぶことだけを考えてるような男だった。見かけも、だったから女にも、モテてはいたが、俺の方が格段に女からモテてたから俺を神のように崇拝すうはいしていたぜ。


 そのジョニー、チェルシーに気があったんだ。チェルシーは、ぶっ飛んださかりのついた雌猫メスねこのような女だったから、この年代の男なら誰もが興味を持つよな。


 俺はジョニーに呟いたんだ。


「チェルシーを譲ってもいいぜ! あいつはぶっ飛んでていい女だが、他に気になる女ができたんだ」


 ジョニーは、そりゃ喜んでたぜ。頭の中に、チェルシーのおわんのようなおっぱいが浮かんだみたいだ。ニヤニヤしながらどうしたらいいんだって聞きやがった。俺は、あいつと会うのをやめて、冷たくするからお前がやさしく相談に乗ってやれってアドバイスしたんだ。女はさみしいときに優しくされると落としやすいからな。


 ただし、このことは絶対に秘密だ。「もし誰かに話したら、お前の妹を俺が誘惑するからな」と脅しておいた。ジョニーの妹は、俺に気があったからな。ジョニーは、苦笑いしながら「絶対口外しないぜ」とお互いの右手をグーにして拳をぶつけ合うフィストバンプで約束の誓いをしたんだ。


 翌日から、俺はチェルシーに無視を決め込んだぜ。あいつは泣きそうな顔で、俺の腕にまとわりついてきたが、俺は、大学に行くことにしたとあいつに宣言したんだ。「SAT (大学進学適性試験) の勉強が忙しい! 」と言い放って、あいつと会うのをやめたんだ。


 あいつの家は貧しくて大学へは行けない。かわいそうだが、どのみち、これから先、一緒に行動することは出来ないだろう。ジョニーは、大学に行く気など最初からないような男だったから、お前とずっと一緒にいてくれるぜ。




 俺の思惑通り、俺が冷たくした日から、ちょうど一週間目にジョニーが俺に呟いたんだ。


「チェルシーは最高の女だったぜ」ってな。


 ジョニーは、満足した顔で俺の顔を見たが、正直……俺は少しがっかりしたぜ。チェルシー、お前もやっぱり、誰とでも簡単に寝る女だったのかよってな。これで俺は、もうお前に未練などないぜ!



 次の日、俺は何も知らないふりをしてチェルシーを誘ったんだ。チェルシーは、喜んで誘いにのってきたぜ。今夜はお前と最後の夜を過ごすのさ。ぶっ飛んだお前の事を、実は結構……気に入ってたんだぜ。でも、お前は所詮しょせんさかりのついた雌猫めすねこなんだ。俺じゃなくてもよかったんだろ。俺にしては、珍しくセンチな気持ちになったが、俺には次の女が待ってるからな。最後の絶頂を味わった後、俺はチェルシーに呟いたんだ。


「ジョニーは、俺より良かったか? 」って。


 チェルシーは驚いた顔で泣き出したぜ。


「あれは、気の迷いだったの。許して!」ってな。


 俺たちは、終わりだ。お前は、俺のダチに抱かれたんだぜ。チェルシーは、泣いて俺の胸にすがってきたが、俺はお前と最後の絶頂も味わったし、別れることはすでに決めていたから、これで終わりだ。



「これからは彼女づらするなよ」


 冷たく言い放ったのさ。


 俺はチェルシーと別れ、ローラを口説くための作戦を練ることに集中したのさ。

 

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