第5話 献身:ピンクスライム 料理長VS.喰殺乾酪《キラーチーズ》!
ナザリックのあらゆる資源の
その循環過程の企画運営は、ナザリックを管理運営するにあたって最も気を使ったと言われている。
収支のバランスを超えては、ギルドの維持は不可能である。ギルドが解散に追い込まれる理由の一つとしても、このことは挙げられている。
そのバランスは、転移後の現世では適応しきれない要因が多くなってしまったために、そのままでの適応は不可能となってしまった。
だが、アルベドとデミウルゴスの両名をもってして、その至高の頂点にいつか到達できるのだろうかと感嘆の唸りを上げざるを得ない程のものであるという。
その一切の無駄を廃し、全てを有効資源と変える助けの極一部が、ピンクスライムにある。
元々は、ギルドの運営に支障がきたす程に、各々が好き勝手に
だが、たっち・みーが独身
ある日、ギルドマスターたるモモンガはその問題を提起した。
「このままでは、楽しいはずのゲームで苦しむことになるだろう。そうなっては、本末転倒ではないか」と。
「この広大なナザリックを少人数でも組織運営できる状態へ、最低一人でも残っていれば維持することが可能な、不朽不滅のダンジョンに
とお題を立ち上げたことを切っ掛けとし、それぞれが知恵を絞り、知恵袋や豆知識や嘘情報を動員して組み上げられたのが、ナザリック㊙運営マニュアルである。
実際に搭載/実現することが叶わなかった、ボツネタも満載されていたりする。
それらを参考に、ナザリックの頭脳たるアルベドとデミウルゴスは試行錯誤を繰り返すが、問題の完全なる解決に至るには、まだまだ時間と試行錯誤が必要とされるようだ。
・・・ ・・・ ・・・
ナザリックの食料自給率は、100%を超えることも減ずることもない無駄を省いた究極の
だが、転移後のこの世界では、食料自給率が100%を割り込みつつあることに、料理長は危機感を覚える。そうなってしまえば、ナザリックの食糧事情は一部を外部からの輸入に頼らざるを得ない。
その自給率が、
外部へ出張する者が増えたことで、外食をする機会が増え、実際には100%を超過することの方が多くなっているのだとしても。理想は自給率100%を常に満たせていることが望ましいと常々語っている。
魔法での〈保存/プリザベーション〉もあるが、料理長たる立場からすると、
だが、瓶詰めや缶詰などに加工することは食品加工の分野であることから、おおいに活用する。そうして出来上がる食材もまた存在するためである。例えば、ピクルスなどの酢漬け、ザワークラウト=酢酸発酵した酸っぱいキャベツ、
ただ単に、食べもしないものを、何時までも何時までも取っておくといったことが許せないだけらしい。
料理長いわく。食べ物は、作られて食べて欲しい時が食べ頃であり、何時でも何時までも置いておくだけの置物にするために作ったわけではない! と力説している。なので、残菜などがあった場合、それがなぜ残されたのか、とことん追求する。
/// /// ///
ナザリック
付け合せの人参が残されたのを偶然目撃した際は、苦悩のあまり大暴走し、生の人参を調理するとともに呪詛を投げ掛けていたという。
「
そして、その呪詛は
あまりの事態に、周囲は騒然となったのは記憶に新しい。ただ、横から伸びた手によって
だが、これを見ていたリュートからは「
結局、特別に特大サイズの饅頭をこしらえてもらったという。
食べられる時、「
ちなみに、アインズはそれを見てドン引いたという。
感想:「あま~い♡」
・・・味は果肉
/// /// ///
ナザリックで手に入らないものに関しては、輸入で構わないが、自給率を割り込むことに関しては料理長の
その問題解決の一助として使用されたのが、ナザリック㊙運営マニュアル。
ティトゥス所蔵の~九つの罪宝/憂鬱~通称【黒本】に記載されし記述が一説。
そもそも、
それを、殺菌剤でもって食中毒の可能性を下げて、比較的安価に安定的に供給するための一つの手法。限りなく
ウルベルトも
転移後の現在、
獲物を解体し、これ以上は肉を取り分ける労力の方が惜しまれる際、肉スライムに任せることにより、肉スライムが徐々に肥大再生する。
千切っては焼き、千切っては茹で、千切っては揚げ、千切っては蒸し、千切っては加熱乾燥、千切っては缶詰めした後に加熱処理・・・などなど、万能性が異様なほどに高い。
物理的には弱いが、それで死ぬことはまったくない。
だが、熱変性=加熱処理には弱いため、45℃を超える熱であっさりと動けなくなって死んでしまう
一握りほど生き残っていれば、新たに蛋白源=肉類を確保さえすれば徐々に
そのため、料理長は研究に研究を重ね、ついには様々な種類のスライム肉を作り出した。
小麦粉と酵母を与え続け、パン生地状のスライム肉。通称:メリケン子
千切って熱を加えたなれば、常にパンが出来上がる優れもの。蒸しパン、揚げパン、焼き立てパン、
まれに、ハグレたのかドロドロとした生地の者も生まれる。=ケーキ風
様々な
小さく千切って直に食すとなれば、
小さく千切って凍結させたものは、
小さく千切って乾かせば、短時間なら
小さく千切って
液状にまでドロドロとしたハグレは、
様々な植物由来の蛋白質を与え続け、植物なのに肉類という矛盾した存在に特化したスライム肉。通称:
冷たい清水の中を好み、ほろほろと非常に崩れやすいため、慎重に扱う必要がある。
冷たく仕上げれば、
熱く煮立てれば、湯豆腐や煮奴風。
身も凍てつく寒風に晒し、身も緩む暖かな陽気に晒しを幾度も繰り返し続ければ、
そのまま冷やし固めて生でよし、茹でてよし、焼いてよし、揚げてよし、蒸してもなおよし。
脇役も主役もどちらも成り立たせることから、
ちなみに、ソリュシャンは
その味は
=獄の錠を開けるに等しい禁断の味、堕ちて逃れようと足掻こうとも囚われて
リュートからしてみると、慣れ親しんだ
ナザリック三代目料理長
ついでのことながら、ナザリック
男勝りの頑固な女傑料理長。
千夜一夜のごとく、いざとなったら千日分の料理を一夜で作り上げるほど。
三代目=定命/定年がある証らしい。
容姿:
アラブ系、というよりブラジル系の様な褐色肌に
首から上は炎のようなモノに包まれていて、その本当の顔を知るものはほとんど居ない。明け方、寝惚けて気を抜いているとその顔が顕になる。だが、ナザリックの基準からすると不美人。=
悪魔修行中の【魔女】。
完全なる堕落=悪魔=定年。
首なしラバ (
聖職者が姦淫/不貞/
雄
表向きは、そんな聖職者との子供は存在しないことにされているため、顔を知るものは少ない=顔なし~首なし。
夜な夜な人目を忍んで活動するため、悪魔のように思われたことから、
そのため、その境遇に不満を抱き、世間を恨んで、夜更けから朝方に暴れるように走り回る行為を繰り返す様になった。
その夜な夜な暴れ走り回る首なしラバを捕まえ、首に縄をかけて家の立木に縛り付けることで、翌朝には首なしラバは美女に変わるという
ちなみに、聖職者の姦淫/不貞/女犯の証として、男が生まれたら、狼男になると言われている・・・らしい。
豆知識
聖獣として知られるユニコーンは、実は元々は角のような
清貧を重んじる聖職者は粗食に耐え、頑固であり、概ね頭のいい存在=ロバと解釈されたのではないだろうか? 癒しの知識を持つことと、
なので、
以下、危険な番外編
副題:料理長VS.
料理長シェハラザードは晩酌用に
今度は、堂々とした態度で臨む。ここは、ナザリックの厨房内であり、己の牙城たる食堂を荒らすものは、たとえ階層守護者統括のアルベド様であろうと、叱りつけてみせた。最もその後で、自分はなんて事をしてしまったんだ! と大いに
/// /// ///
「私は守護者統括よ。その私に意見出来ると思っているのかしら?」
「どこの誰であろうと、今この場にいる限りは、俺が決める! アルベド様、非常事態であるならまだしも、その様な格好で飛び出されるとは、我が職場を侮られるな!」
アルベドは、そのあまりの剣幕にたじろぎ、結局席について食事を大急ぎで摂り。残りは弁当としてもらうことで席をたつことを許されたという。
結局、時間には遅れてしまったのだが、ちょうど騒ぎを聞きつけ立ち寄ったアインズ様曰く「朝の食事は最も大事だからな。多少遅れたからといって、慌てる必要はない。その場合は、予め報告すれば咎めはしない」と言質を残されたという。
もし、そのまま走り去っていたとすれば、アルベド様はきっと狙いすましたように、出会い頭にドカンとぶつかり・・・アインズ様が拉致されていたはず? あるいは、彼我の防御力の差でアインズ様がばらばらになったかも?
ちなみに、シャルティア様も
「食堂は料理長の神域であり、何人もそれを妨げてはならない」と、あまのまひとつ様が設定の一つとして
/// /// ///
扉の前に堂々と立ち、扉を開けてその相手を見定め、声を掛けた。
「・・・餓食狐蟲王」
「・・・・・・」
返事はない。
「餓食狐蟲王!」
料理長の頭を覆う炎が一層、激しく焚けり、辺りを照らす。
呼ばれた餓食狐蟲王は、悪いことが見つかった子供のような、
「ここで、何をされておられるのですかな? 納得の行く返答はいただけるのでしょうな?」
丸いオレンジ色の粉を吹いたような巨大な塊が、ゆっくりとした動作でもぐもぐとしている。
その様子を見て、カッと頭に血が上った!
「・・・
手にした
両断された断面から見える、無事な部分を餓食狐蟲王から切り離すべく、縦横無尽に振るわれる大包丁。
「一度は許す。だが、次に見かけ様ものならば、串刺しにして焼いて食ってやる。判ったか!」と啖呵を切るが、返事はない。それでも何事も無かったかのようにバラバラになった餓食狐蟲王を掃き集め、完全に密閉できる
とはいえ、摘み食いされたとはいえ無事な部分が残るチーズは、仕方がないので料理長自ら責任を持って【ミモレット/ミルベンケーゼ風】として処理したという。
ちなみに、餓食狐蟲王は個体群であり、一個体が群体であり、群体が一個体のため、蠱毒の大穴をまるごと滅ぼさない限りは、不滅。要は、一部分が滅びたとしても全体的には些細なこと。
小さく千切って、極限られた生き物に与えれば・・・
・・・そして、研究熱心な料理長は、ゼルン族族長ビービーゼーに目をつけているという。
ちなみに、エントマ様は
ちなみに、残りはなんとも業腹ながら、恐怖公が一手に引き受けてくれたのがなんとも悔しい。と
アレは、油断していると逆に襲われる・・・と呟いた。
エントマは、羊飼いの経験もあるデミウルゴスと稀に呪蛆乾酪を肴に、赤ワインを
だが、上には上がいるもので、中にはソレと知りながら
リュートは、独得の臭いが駄目。なので、密閉されたガラス瓶越しに偶に眺めて見るに留めている。あれはね、なんだか食べられないの。でも、見てるとぴょんぴょんしてて面白いの。とは言うものの、すぐに引き剥がされる。禁止されるほどに興味は増すらしい。
ちなみに、エントマには食後に【特殊技能】の回数が増やせる一時的なバフが付くという。
P.S.
逃げろ! ビービーゼー! 逃げろ! ゼルン族! ・・・食いたくないぞ~!
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