8#大きくなった子ツバメ達

 やがて、ツバメの雛はどんどんどんどんどんどん大きくなり、親ツバメとかわらない位に大きく成長した。


 


 「えっへん!!どう?わたしの吐息でこんなに息子達が膨らんだわ!!」


 「フーレちゃん、我が跡継ぎを風船が膨らんだみたいに言わないでよお。」


 「何いってんの?わたし達がずっと、息子達に餌を運んでどんどんどんどん・・・しっかし、この風船はどんなに息を吹き込んでも・・・ぶぶぶぶ・・・!!」


 雌ツバメのフーレは、あのセッター犬のアヴに貰った萎んだ水風船を嘴にくわえながら言った。


 「フーレちゃん、まだこの風船持ってたの?」


 「うん!だって、なかなか膨らまなくって!!」


 「じゃあ、僕に貸してごらん?」


 雄ツバメのレッシュは、雌ツバメのフーレに嘴移しで渡された水色の萎んだ水風船を嘴にくわえて、息を気嚢へ深く深く吸い込んで、




 ぶぅーーーーーーっ!!




 ぷくっ


 


 「きゃっ!膨らんじゃった!!」


 雌ツバメのフーレは感嘆した。




 ぶぅーーーーーーっ!!


 ぶぅーーーーーーっ!!


 ぶぅーーーーーーっ!!


 ぶぅーーーーーーっ!!




 雄ツバメのレッシュは形相が変わる位はらませた赤い頬だけでなく、顔中を真っ赤にして水風船に息を吹き込んで膨らませた。




 ぶぅーーーーーー!!


 ぶぅーーーーーー!!


 ぶぅーーーーーー!!


 ぶぅーーーーーー!!




 「きゃっ!きゃっ!パパぁーー!!頑張ってぇーー!!」


 4羽の雛達は、どんどんどんどん大きく水風船を一生懸命膨らますパパツバメのレッシュに歓声をあげた。


 「きゃーっ!!今度わたしが!わたしが!」


 興奮したママツバメのフーレは、パンパンに膨らんでいった水風船を膨らますパパツバメのレッシュの周りをしゅーーーーーっ!!しゅーーーーーっ!!と飛び回ってせがんだ。


 


 しゅぅーーー!・・・




 「?」




 ぱぁん!!




 「きゃっ!」


 「うわっ!」

 

 「きゃっ!」「きゃはっ!」「わっ!」「げっ!」




 レッシュの膨らませすぎた水風船は遂に破裂し、パンク音にツバメ親子は皆ビックリした。




 「ごめん・・・フーレちゃん。風船割れちゃった!!」


 「しょうがないわねえ・・・」


 「言い例えれば、この我が雛たちも僕達の、『吐息』で膨らませてあげたと同じことなんだね。

 風船を愛情の『吐息』でねっ!」


 パパツバメのレッシュは、割れた水風船をくわえてウインクをしておどけて、ママツバメのフーレに言った。


 「うん!一緒にもっと雛達に愛情の『吐息』を吹き込んで、パンパンにして一緒にあの南の国に飛び立てるように育てようね!!」


 ママツバメのフーレとパパツバメのレッシュは、お互い寄り添って、バタバタと翼を羽ばたかせ始めたこれで、ツバメ達を暖かい目で見詰めていた。

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