【ネタバレ】ここまでのあらすじなど

■あらすじ(序盤)


 年号がまだ平成だったころ。

 突然の発表が政府からあった。


 空想上と思われていたモンスターが実在すること。しかもモンスターの肉がしょう油に合うこと。これからはだれでもモンスターを狩猟できること。

 いわゆる規制緩和だった。

 これに日本中が熱狂。モンスター退治がブームになる。

 モンスターを狩る者たち――退魔師たいましという職業は、世間の脚光を浴びることになった。


 このブームに鮭川古宇さけがわこうという少年も巻き込まれてゆく。

 きっかけは、初恋の少女・一之瀬雫那いちのせしずなとの再会だった。古宇はともにモンスターを狩ることに。というのも、古宇の父親ががんになったからだ。モンスターの肉にはがんを治す効果があるという。


 戦いのなか、退魔師の世界での派閥争いが見えてくる。退魔師のなかで大きな力を持つ山形派なる勢力。彼らは世界平和という大きな仕事を成し遂げようとする。

 大きな仕事、それにもモンスターの肉が必要なのだった。一方で、大きな仕事に夢中になっておかしくなってゆく姿も古宇は見ていた。


 古宇は戸惑いながらも自分の本分、料理するということと向き合う。


■ここまでの登場人物


鮭川古宇さけがわこう】♂

本作の主人公。山形県の田舎町に住む少年。高校生。町にある定食屋の息子で、自身も料理が得意。ペプシが好き。幼いころ、一之瀬雫那(後述)と出会い、恋心を抱いていた。その雫那が突然現れ、いっしょに住むことに。


一之瀬雫那いちのせしずな】♀

本作のヒロイン。長い黒髪が美しい少女。凄腕すごうでの退魔師。外見上は完璧な美少女だが、寒いギャグが好きだったりする。武器は手斧ておの。ごはんが大好き。いつもクールな顔をしているが、たいてい今日のごはんのことを考えている。胸サイズはCカップからDカップくらい。


多島たじまみかね】♀

古宇が通う高校の先生。古宇の家の近所に住んでおり、古宇とはむかしから交流があった。古宇にとってお姉さんのような女性。古宇は親しみを込めて「みか姉」と呼ぶ。胸が大変立派。実は退魔師でもある。武器は89式小銃。


有村再鉄ありむらさいてつ】♂

高校における古宇の友人。おちゃらけた性格の男子高校生。彼もまた退魔師をしている。銃火器の扱いにける。妹の準理じゅんり溺愛できあいしているが、妹から肘鉄ひじてつを食らうことも珍しくない。山形弁でしゃべる。イケメン。


有村準理ありむらじゅんり】♀

古宇のクラスメイト。再鉄の妹。引っ込み思案で、どもりがちだが、兄の再鉄には容赦ようしゃがない。学校での騒ぎにおいて雫那に助けられたことから雫那の友人になる。


鈴森怜樹すずもりれいじゅ】♀

古宇が通う高校の生徒会長。サディストっぽい性格の少女。事故によって車椅子くるまいすでの生活を余儀よぎなくされている。この事故というのは、もとをただせば古宇と雫那がモンスターを召喚したことによる。再鉄とかつて親しかったようだ。


御兎谷東也おとがいとうや】♂

古宇の幼馴染おさななじみの少年。同じ高校に通っている。古宇と雫那に対し、モンスターの召喚を持ちかけた人物。現在はなにやら世界平和を目指して暗躍している様子。幼いころは家のしきたりで女装しており、大変かわいかった。


鮭川升明さけがわますあき】♂

古宇の父親。定食屋を営む。升明もまた退魔師だった。がんを患っていることが判明し、現在は入院中。がんになったきっかけは、升明がなにやら大きな仕事を抱えているせいらしい。雫那とはむかしから顔見知りだったようだ。


■ここまでの用語


【モンスター】

一見暴れ回っているように見えるが、実はわたしたちの仕事を代わって果たそうとする存在。ただし方法がメチャクチャで、結局は災害になるという。


【仕事とカロリー】

この世界には「仕事をするとカロリーがもらえる」「カロリーをもらうと仕事ができる」という大きなルールがある。これがきちんと守られていないため問題が起きているという。


【仏】

入力と出力を担う端末。お供え物をするといろいろ出してくれる。お地蔵さまがミサイルを発射することもある。


退魔師たいまし

かつては一部の人間しかなることができなかった。規制緩和によってだれでもなれるように。山形県では《てえまし》と読むことがある。


召魔師しょうまし

モンスターを召喚するための手伝い、もしくは誘導する者たち。ここで言えば御兎谷東也おとがいとうやが該当する。


【京都派】

古くから日本における退魔を担っていた組織。戦時中は軍との関係が深かった。そのことを戦後になって問題視され、不遇な時代を送ることに。後述の山形派とは対立している。


【山形派】

京都派に代わって退魔を担うことになった組織。組織の目的は、世界平和という大きな仕事を達成すること。イギリスが支援している。前述の京都派とは対立。


【大きな仕事】

たとえば世界平和など実現不可能な途方もないスケールの目標のこと。しかしモンスターという存在はこれからわたしたちがいずれ大きな仕事を果たすことへの報酬、カロリーだ、と首相は言う。


【イチゴ弾】

正式名称は15式演習弾。自衛隊が演習などで使用する。当たっても死なない弾丸だと首相は太鼓判を押す。このイチゴ弾で山形派と京都派、そして日本国民には思う存分、銃撃戦をしてほしいと首相は呼びかける。


【魔】

仏道修行者ぶつどうしゅぎょうしゃを惑わす存在と思ってもらって良い。自分ではなにも生み出せないのに他人の仕事は妬ましい、という存在でもある。大きな仕事を果たそうとモンスターを操る。結果、大きな仕事を果たせないまま、さまざまな災害ばかりが起こることに。

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