第9話 初めての混浴
運が良いと言った少女はまさかの日本人、長瀬咲と名乗る少女だ。
そして私が願えばなんでもできちゃうというとんでもチート能力を持つ少女だった。
心底残念なのは、そのなんでもできちゃうの中に威圧値を自由自在に操るという事である。
俺の存在意義って一体……とへこみたい気持ちは山々ではあるが、俺には俺の生き方っていうものがあるのだ、あいつとは関係がない。
「はあ……私今月どうやって生活しよう、逆神がいるって聞いたから全部逆に張ってたのに私が外すなんて」
おまけに今は予算が尽きた不幸な少女と一緒に歩いているのだ、本当に面倒臭い状況なのである。
「お前の腕もあるんだからクエストに行けばいいだろ」
「番丁君もいくの~!」
「子供かお前は、それにお前にはスクワッドソルジャーっていう強い味方がいるんだろ? そいつらと同行しろよ」
「あれは違うわ! 名目上一応組まされてるだけよ、緊急事態以外はほぼほぼ別行動なの」
「そうなのか」
だからって俺と彼女が一緒に行動しなければならないという理由にはならかい。
もし彼女と明日同行すればこの先ずっとテトラとはパーティを組まなければならないような気がする。
こんな俺みたいなお荷物がパーティにいていいのだろうか、あんな運を操れるだけの女の子に負けたこの俺を。
そう言えば明日から俺達どんな関係になるんだろう、マゼンタはこれからパーティを組んで行こうなんて一言も話した事がないし、一日だけの仲なのだろうか。
龍花においては俺をご主人とか言ってたっけ。
ステータスにも彼女のアイコンが出ていた事だし、彼女とは今後長い付き合いになるんだろうな。
「何をぼーっとしているの、宿舎はここだよ番丁くん」
「あ、ああ」
宿舎に戻った後は先に風呂に入れてもらう事にした。
本当は今日起こった出来事なんて一切考えたく無かった。
しかし俺にとって彼女には全ての面で敗北したとしか言えない限りである。
「も~難しい顔して、ギャンブルに負けた事そんなに気にしてるの?」
「まあそこそこな、ってえええええ!? 何入ってきてんだ!」
「番丁くんさっきから難しい顔ばかりしてたもん、だからお姉さんが心も体も洗ってあげようと思って」
「だから俺は前の世界ではお前より年……」
「背中洗うわよ」
彼女が入ったのを確認した後後ろを見る事は無かったが彼女の鎖骨は見えた。
これは完全にバスタオル以上になるが、ていうかバスタオル以上ってなんだ!?
彼女の胸の先が当たったような気がした、これってもしやち……ち!?
「固くならないでリラックスして~番丁君を落ち着かせるためにやってあげてるんだから」
「か、固くなってない! ていうかこんな事されたら落ち着かないんだが」
「あら、番丁君は背中の痒み取れたら落ち着くタイプじゃないの?」
い、一体何の話をしているんだこいつは……。
それにしても妙だ、何故彼女はここまで普通に年頃の男と風呂に入れるのだろうか。
俺が年下で若いからか、それとも異世界ではこれが普通なのか。
シャワーを浴び、湯船の中に先に入ると後ろからテトラが入ってくる。
しかしあまりにも狭すぎて密着せざるを得なかった、胸と背中が……。
「やっぱり俺先上がる!」
「駄目よ、番丁くん疲れてるんだからちゃんとゆっくりお湯につからなきゃ」
おめえのせいでゆっくりできないんだろうがい!
しかしいざ入ってみると本当に良いお湯だ。
後ろの柔らかいクッションは無視、無視。
向こうも純粋な気持ちで入ってるんだから固くなったら失礼だろう、ここはヌーディストビーチと同じようなものだ。
しばらくの間二人とも喋らずに湯船に浸かるのだった。
「なあ、そういえば聞きたい事があるんだけど」
間がしばらくの開いている中、先に口を開いたのは俺だった。
異世界では混浴は普通の事なのか、いやそうじゃない。
質問の内容をど忘れし頭の中はカオス状態にある。
「どうしたの?」
「えっとだな、明日から俺達はお別れって訳だろ」
「もう~またその話? 番丁くんは私と冒険するのがそんなに嫌なの!」
「そういう訳じゃないんだけど俺よりももっと良いパートナーがいるだろ、マゼンタとかさ」
「はっきり言って彼女と二人きりじゃ絶対にこの先やっていけないわね」
「何で?」
「なんでもよ、番丁君がいなきゃ私はあの龍花ちゃんにやられていた訳だしあなたは命の恩人よ、でも嫌なら無理についていかないけど……」
「嫌じゃないが」
しかしよく考えてみろ俺、テトラが俺と一緒に行動を共にしたがっているのだ。
ここは難くなに拒み続けると本当に嫌だと思われかねない。
それにまたこういう機会も訪れるかもしれないのだ、今は流石に怖くて見れないが次こそは彼女の裸を見たい気がしなくもない……。
「じゃあこれからもよろしく」
「本当!? やったー! 嬉しいー!」
「っちょ!?」
テトラさんのでか乳とでか乳に挟まれた二の腕が硬直して動けそうになかった。
これはもうわざとじゃないのか。
しかし後ろを向くと無垢な笑顔で喜んでいる姿は不思議と伝染するように自分にも喜びというものを与えられるような気がした。
そうか、仲間が一人増えたんだな……。
「ちょっとー!何二人でイチャイチャしてるのさ!」
「番丁……龍花よりもその子の方が好き……?」
「うわああああああああ! マゼンタお前ち○○出てるって!」
「え? ちく○がなんだって?」
素っ頓狂な顔でタオル一枚持たず入ってくるマゼンタと残念そうな顔でこちらも素っ裸で入ってくる龍花。
俺は決してロリコンじゃないから興奮はしな、いやそういう問題じゃない……なんなのだろうこの状況は。
「番丁は魔法使いになったんだから僕のもんだもんね~! 泥棒女に渡すもんか!」
「誰が泥棒女ですって!」
「番丁……一緒にお風呂浸かろ……」
右腕はテトラの胸に包まれ、そして左腕にもマゼンタのでかい乳に挟まれ、正面の下半身部分は龍花の腹が密着していた。
全く異世界ってどうなってるんだ、童貞の俺からしたら刺激が強すぎるってーの。
その後は気絶したのか起きた時はベッドの上だった。
右から順番にテトラ、俺、龍花、マゼンタと何故か俺は真ん中で眠らされている。
「番丁くん、起きた?」
「あ、ああ」
小声で耳元で囁くのはテトラだ、彼女は丁度俺の隣で横になっている。
そして右腕はテトラの胸の谷間へ吸い込まれるように引き寄せられていた。
「っちょ……」
「シ―……龍花ちゃん起きるよ」
「お前はなー……」
なんのつもりかは分からないが彼女はまたしても無垢な笑みを作り上げ囁きかける。
「言い忘れてたけど今日はありがとうね、あなたが来てなかったら私死んでたかもしれないわ」
「そんな事ないだろ、やられそうになったら逃げればいいし龍花だから深追いはしな……むっ!?」
頬に何や柔らかいものがとまった。
蚊か? んな訳はない、これはテトラの唇である。
「これは今日のお礼、おやすみなさい番丁くん」
それからテトラはありえないくらいの速度で眠りにつき、俺はしばらくの間眠れずにいた。
今日は星が見えない、異世界だから当たり前か。
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