よくある風景の非日常
もやしいため
第1話
二限目の開始を告げる音階が頭上から降り注ぐ。
授業が始まって少し静けさを取り戻した廊下を、我が物顔で歩く少女。
その少女は高校指定のセーラー服の上に何故か学ランを羽織り、機嫌良さ気に小さな鼻歌を奏でて進んでいく。
「停学明けから遅刻とはいい度胸だな」
廊下の角から顔を出したスーツ姿の男性が、眉を吊り上げて少女の前に立ちはだかった。
「何さ出て来ただけマシでしょ!」
彼を見た初っ端から喧嘩腰の少女は左側にまとめた少し赤い髪を揺らして攻撃的に答える。
しかし、前のめりに勢い付く少女の顔を見て、男は心配そうに声を掛けた。
「なんだ、まだ顔を腫らしているのか?」
「これは昨日の……」
「お前……」
「あっ、今のナシ! しょーちゃん聞こえなかったよね!?」
「学校でしょーちゃんはやめろキサキ」
男は抱えていた心配と怒りの感情を一緒に乗せたかのような大きな溜息を吐く。
気が抜けて肩を落としたとも言えるかもしれない。
急激に機嫌を直す
「はぁ……黙っていれば可愛いのにな……」
「え、ホントにぃ?」
「とりあえず教室に急ぐぞ」
羽織っていた学ランの襟首を掴まれるキサキは、子猫のように
よくある風景の非日常 もやしいため @okmoyashi
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