うたたねーしょん

 西暦二〇三五年の平和なニホンに綺羅星の如く現れた戦士がいた。


 その名も『A-Eそるじゃー』……!


 Aカップのココロ!

 Bカップのユウキ!

 Cカップのマシロ!

 Dカップのヒナタ!

 Eカップのデイジー!

 五人の戦士だ。

 彼女らに中の人はいない。

 日々、平和を守るため、おきゃんなお仕事に大忙しだ。


「アーハン卿、新曲が出来上がりました」


 五人のそるじゃーが揃い、代表でユウキが、Bカップの中から、デモカプセルを取り出す。

 夕べは、桃のかほりのバスに入ったので、それもほんのり甘い香りがする。


 こっくりっここん。

 こっくりっここん。


「ねむーい。ねむーい。ねむいのじゃー!」


 誰も触れてはいけないとされているから、アーハン卿が頬をつねったりしても眠気は吹き飛ばない


「アーハン卿? おねむでしたら、卿の本日の寝所へご案内いたします」


 ユウキが、頬を染めて、アーハン卿に気持ちを伝えた。


「ふぐほふへ!」


 アーハン卿は、奇声をあげた後で、やっちまったと猛省した。

 何故なら、A-Eそるじゃーに、普段から豪語していたからだ。


『儂の辞書に居眠りもうたたねもない! 二十四時間すんばらしいーお仕事をしているんじゃもん。だから、キミ達、働くべし!』


 だが、五人のそるじゃーに見られてしまった今、信頼回復は難しいと、アーハン卿は、しょんぼりと身にしみた。


「儂としたことが……。九十度は船を漕いでいたな」


「だんめ。今日は、ユウキがアーハン卿のご寝所よ。今みたいにうたたねして、お怪我でもなさったら困るよ」


 マシロが今日の唇はすっぴんリップグロスでアーハン卿を気遣っている。


「ねえ、このご寝所ローテーション、もう止めましょうか?」


 デイジーがたわわんと胸を揺らして、頬に手を当ててさも虫歯が傷むようなポーズをキメる。


「このまま続けてもいいよ」


 ヒナタが間髪入れなかった。


「そうではないと、平等にに順番が回ってこないからだわあん!」


 ヒナタのフォローをするココロだ。


「ちょいちょい。お待ち。自分の番で揉められても困るから」


 なんやかんやで、気持ちは一つ。


 せーの!



『うたたねーしょん』














Fin.

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卿もパイ乙AーEそるじゃー いすみ 静江 @uhi_cna

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