第2話

 桃園うらら。彼女の変人ぶりは、常人の理解を超えている。

 たとえば、机の上で育てているカイワレ大根。

 たとえば、ロッカーの中のドールハウス。

 たとえば、鞄の中のミドリガメ……。

 と、数え上げたらキリがない。

 でも、ま、しかし、ただの変わり者だったら、それはそれでもいい。

 私には関係なんてなかったし、少なくとも、お友達になりたいなんて思わない。他人だ。私の人生には関わりのない、ちょっと奇妙なエキストラ程度のもんだ。

 で、事実、そうだった。少なくとも、1週間前までは。

 なのに、一体何がどうしてどうなったのか、彼女の常軌を越えた好奇心の次なるターゲットに選ばれたのは、向坂緑子。つまり、この私だったのだ。

 私のどこが彼女のお気に召したのかは分からない。

 こんな、平凡な女子高生にいったい何があるというのか。こっちが教えて欲しい。

 しかし、なんにせよ、理由も分からず後を付けられるのは気味が悪い。

 はじめのうちは、私も怒ったり、理由を問いただしたりしたけど、彼女の要領を得ない答えに、あきらめてしまった。

 曰く、

『好きだから』

『楽しいから』

『アイシテいるから』

 ううう、いったいなんだと言うのだ。

 この、理不尽な程の彼女の興味を真っ向から受けている、今日この頃の私だった。

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