花鳥茶屋にニホンカワウソやアザラシなどの水生動物や鷹や梟などの猛禽を加えてみよう

 さて、娘がうまれてからは色々と毎日騒がしく過ごしているが、遊郭の経営も当然しなければならない。


 とは言え俺がここに来て目覚めた頃に比べれば既に客足などもかなり安定しているから経営の心配はたいしていらないが。


 それでも客を増やす努力は必要だけどな。


「ドードー鳥も元気だし、インコも結構人気だし、孔雀もきれいと評判だ。

 そしたら他の動物も増やしてみようかね」


 江戸時代には動物園はないが意外と花鳥茶屋のような見世物小屋で見世物とされた珍しい動物は多かったりする。


 海外からゾウ、ラクダ、ヒョウ、トラ、ロバ、クジャク、ヒクイドリなどが輸入されたり、アザラシやアシカなども見世物になったりしている。


 特に孔雀やヒクイドリの羽は「疱瘡麻疹疫疹のまじなひ」として、それを見たり、ふれたりすることにより、悪病除けの効果があるとされ、小児の疱瘡、麻疹避けに効くとされて、見世物小屋はとくに幼い子ども連れの親子が多く、実際孔雀は害虫や毒蛇を食べることから孔雀明王は毒を取り除いてくれる存在だと思われてるのだな。


「孔雀明王様、どうか私の子供を病からお守りください」


「ください」


 そんな感じで親子で真面目に孔雀に手を合わせて拝んでる人たちもいたりする。


 俺も娘が生まれたから今ではこういった親子が真剣に拝んでるのはよくわかるぜ。


「どうぞこれを食べていってくださいね」


「ありがとうございます」


「ありがとー」


 俺もなるべく親子が健康になれるように吉原旅籠では積極的に納豆や糠漬けを食わせたり茶屋で雑穀の団子や甘酒などを食べてもらうようにはしてるけどな。


 豆は魔滅でもあり実際栄養的にも良いし納豆菌は日和見菌だが悪玉菌の駆逐能力がとても高いからだ。


 それはおいておいて花鳥茶屋で見世物にする動物を増やすとしたらドードーみたいに絶滅した動物をなるべく保護したいけど……ニホンカワウソとかニホンアシカなんかがいいだろうか。


 ニホンカワウソもニホンアシカも江戸時代だと水辺に行けば簡単に見つかる動物だが21世紀では絶滅している。


 明治大正くらいまでカワウソはよく見かける動物であったし東京湾内にも明治くらいまではアシカは普通にすんでたらしい。


 カワウソは江戸時代では食用に多少狩猟されていたが、アシカは江戸時代だと禁漁で大事にされていた。


 江戸時代の尾張の熱田に現れた妖怪とされる図はどうみてもアザラシだったりしてアシカに比べるとアザラシはかなり珍しい存在だったようだが、基本蝦夷地以外ではごくたまにしか見かけないから当然ではあるんだろう。


 そしてニホンカワウソやニホンアシカは明治以降に毛皮などを目的に大量にかられたり農薬や洗剤の使用による水の環境汚染で絶滅してしまったんだな。


「カワウソやアシカをかうなら大きめの水槽が必要か……。

 アシカだと海水とかも運んでこないと駄目っぽいけど」


 水槽はローマンコンクリートを使って造りカワウソやアシカがのんびり過ごせるように砂浜を模したヒナタボッコをできる場所も作ろう。


 あとアシカやカワウソを飼える施設を作りつつもう一つ鷹や梟などの猛禽を飼える小屋も作ろうと思う。


 鷹や梟は結構頭がいいし。 


 土木屋を口入れ屋から紹介してもらい施設そのものは銀兵衛親方に頼むいつもの方法。


「と言うわけでカワウソやアシカを飼える施設や鷹や梟を飼える小屋を作ってくれるか」


 銀兵衛親方はいつものように苦笑しながら請け負ってくれる。


「そりゃまたいつものごとく無茶言うな。

 まあ、今は仕事もおちついてるから別にいいけどな」


 というわけでアシカやカワウソを飼える施設を作りつつもう一つ鷹や梟などを飼える広い鳥小屋もつくってみる。


 フクロウは成長した雛が母鳥を食べるという言い伝えがあり、「梟雄きょうゆう」というのが親や主君を倒しのし上がったものを言ったりするので一部では嫌われているが、それとは別に畑に杭を打ってフクロウの止まり木を提供しノネズミの駆除に利用できることから不苦労としてありがたがられている鳥でもある。


 フクロウや鷹は驚かしたり過度のストレスを与えたりしない限りは人を襲うことはないはずだ。


 だからといって必ずしも人間になつくわけでもないんだけどな。


 とりあえずは住める場所を作ってからアシカやカワウソ、鷹やフクロウのヒナなどを手に入れることを考えるとしようか。

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