片平颯芽という名の養護教諭

てな訳であの猫目の先輩は2年の緑のリボンを胸にしたセーラー服を着て1年の教室(こっち)にくるものだから、緊張する

ついでに言うが1年は赤、3年は青。男は詰め襟学生服。まあ、そもそも指定された靴もその色分けされてるから分かるし。

この色は3年間変わらないから後はローテーションとなる

さてさて。しょうがないから焼きそばパンは食べるけれども

しかし、あの後まさか俺のパシリもするとは思わなかったな

あの時も制服から2年の先輩なのは分かってたし流石にそこまではしないだろうと思ったら・・・・・・

してきたよ。かわいいんだけど今後のクラスメートとの交流に支障を来しかねないイベントが

勿論、「あの人誰?」攻撃が数弾飛んできたので「パシリ」とだけ答えて他の砲弾は受け付けない体でいくことにした

それじゃあ混乱するだろと思うだろうけど馬鹿野郎

中には「なら紹介してくれ」とかほざく屯田兵がいるからそこで応戦してた方が混乱もとい面白くない事になるから防戦に入るのがここでは良策なんだよ

さて。既に授業もスタートしてる今日この頃、次に気にするは部活なんだが

正直どうでもいい

いやマジで。親からは英才教育からドロップアウトした姉貴を連れ戻す使命を帯びてやって来た俺だけどその姉貴とは関わらない方向でいきたいのが俺の方針だ

そう。だから1年は部活に絶対入らなければならないというこの高校はおかしいと思う訳なのだよ



その放課後、俺が向かった先は・・・


保健室だった


・・・・・・いやいや、言っときますけど保健室を活動場所にしてる部活はありませんよ

情けない事に昨夜は中学時代の友達7人と家で夜遅くまで持ち寄ったエロDVDの鑑賞会をしてた為に廊下で力尽きていた

畜生、7本中3本見たら止めとけば良かったと今なら思える

後4本はもう惰性で見てたからな

で。今ベッドで寝てたという訳だ

姉貴に担がれて

確かに姉貴の方が背が高いし、170はあるから165ある俺をできない事はないが

出来れば見つけて欲しくなかった

あの姉貴は有名人だから絶対通りがかった奴らはのされたんだと思ってるぞ

今後の1ヵ月で空気を案じているなかで姉貴は目が覚めたと見るやそそくさと出ていった

そこでだ。俺倒れました、保健室に連行、ベッドに軟禁、覚醒ときたら

「ほな、なんで倒れたんや」

保健室の先生が聞いてくるとこうくる訳だ

「貧血です」

「あほう。そんなん分かるわ。やのうてそないなった原因や」

「夜遅くまで勉強してまして」

「嘘やろ」

「・・・・・・」

言える訳ないだろ!AV見てましたなんて

「自分新入生やろ?まだ日ぃ経ってへんこない時期に勉強?ありえへんわ。ええか?うちは養護教諭や。生徒の健康管理が仕事や。せやからまたその生徒が同じ事にならへんようにすんねんのも、うちらの責任やで。その為の理由聞いてんねん」

いや、言いたい事は分かる。分かるが待ってください。

その養護教諭は頭のてっぺんだけ跳ねてる以外は綺麗な黒髪を肩より少し下まで残し顔は整っている美人タイプ

ただ関西出身なのか関西弁は白衣の天使のイメージたる養護教諭として違和感がある

白衣を着てる中から見える体型は胸はぺったんだが腰は細く20代半ばの女性でこれは羨ましいのではないかと思う

「先生、上の方寝癖ついてますよ」

「うち、癖っ毛やねん。これでもマシな方や。セットすんねん大変なんやで。髪もパサつくし」

「へえ。でも綺麗ですよ」

「そらありがとう」

「先生って歳いくつ?」

「26。って話反らすなや」

の割にはちゃんと受け答えするあたりいい先生なんだなと思ってしまう

卒業する頃には「先生歳いくつ?」でからかう事にする野望を胸にはてさて理由をどうするか考える

「まあ、夜遅うまでゲームしてたとか、そないなとこやろ」

お、いい感じに起動補正出来そうだ

「すいません」

もちろん俺はその話に乗ることにした

「あかんで~。最近は深夜2時3時にアイテム手に入るゆうのあったりすんねんけど、自分ら高校生は7、8時間の睡眠が必要なんよ。最低でも6時間やな。せやないと勉強に必要な記憶力・集中力・気力が低下すんねん」

「はーい。分かりましたー」

養護教諭の言うことに返事しつつ俺は立ち上がった

「因みにどないタイトルやったん?」

「えーと」

そこで気づいた時には既に遅かった

養護教諭はニヤニヤしていた

「・・・・・ナ、ナンノコトデショウ?」

「ごめんなあ。見るつもりやなかったんやけどスマホポケットから落ちた時に友達やろうけどそのAV女優の名前なんや?って内容のラインが見えてもうて」

「にしても、そこは聞かないで欲しかったです」

俺は内心半泣き状態だった

ラインから名前は特定できたから後でそいつはとっちめる事にしよう

先生は癖なのか手の甲側の人差し指の第二関節あたりを軽く噛んで唇で挟んだまま立ち尽くしていた

そうして数秒。その先生はこう切り出した

「なあ、うちの計画に協力してみいひん?」


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