編集部の呼び出し
「……酷い目に遭った」
紅葉のお仕置きを受けて数分後、透はげっそりとした顔でテーブルに突っ伏していた。
「自業自得よ」
紅葉の優しさの欠片もない言葉。
透は無性に泣きたくなった。
ちなみに、飛鳥はすでに帰っており、部屋には透、紅葉、華恋の三人しかいない。
「凄い人でしたね、色々な意味で……」
「まあな。あいつは昔SMクラブで働いてたらしいのだが、鞭で叩かれて喜ぶM豚より嫌がる奴に鞭打ちをして痛がる顔が見たいなんて理由で編集者になるような真性のS女だからな。お前も気を付けろよ」
「何でそんな人が編集者なんかやってるんですか?」
「俺が知るかよ」
華恋の当然の疑問に、透は雑な回答をした。
そんな他愛ないやり取りをしていると、スマホの着信音が部屋の中に響いた。流れる音楽からして透のものだろう。
「はあ、誰からだよ……」
渋々とスマホを手に取り、確認する。
「うげ……」
露骨に嫌そうな声を上げる透。
『編集長』
画面にはその三文字が映っていた。しかもメールではなく電話だ。
十中八九面倒事なので、今すぐ電源を切ってスマホを窓から投げ捨てたいところだが、緊急の用件かもしれないことを考えると、それもできない。
「……もしもし」
結局は電話に出る以外の選択肢はない。
『私だ。今時間はあるか?』
野太い男の声が、用件のみを述べる。
「大丈夫です」
『君は最近JCを飼っているそうだが、事実か?』
「ぶ……ッ!」
思わず吹き出す透。そんな彼を、紅葉と華恋が訝しげな目で見てくる。
『事実なのか?』
「違います! 俺はJSにしか興味はありません!」
『そ、そうか……実は最近君のところにJCが出入りしてると聞いてな』
「それ、誰から聞きました?」
情報源の第一候補に、担当である飛鳥が頭に浮かぶ。
『事実なのか……まあいい、今側にそのJCはいるか?』
透の質問を無視して、編集長は質問で返してきた。
「一応いますけど……」
ちらりと華恋の方を見ると、紅葉と楽しくおしゃべりをしていた。
『それは良かった。なら、今から編集部まで来てくれないか? もちろんJCも一緒に』
「華恋も? どうしてですか?」
『わけは来てくれたら話す』
その言葉を最後に通話は切れた。
「何なんだよ……」
透には編集長の意図が理解できず、
JCの弟子入り(旧作) エミヤ @emiya
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