間話

「それじゃあ紅葉、お前も帰れ」

 華恋が帰った直後、透はそんなことを言った。

「今日はこのままこれを読むのに集中したい」

 透は華恋の置いていった紙束を指差す。

 かなりの量なので集中したいのだ。

「へえ、ちゃんと読んであげるんだ、意外」

「流石にあそこまで言われたらな……」

「ふーん……まあ、頑張って読んでね」

 そう言って紅葉は立ち上がり、そのまま玄関まで向かう。

 透も紅葉が出た後鍵を閉めるために、玄関へ行く。

「気を付けてな」

「うん。ああそれと、そろそろ定期試験があるから学校来なよ?」

「……善処する」

「じゃあね」

 最後にそう告げて、紅葉は部屋を出た。

「じゃあ読むか」

 玄関の鍵を閉めてリビングに戻り、座りながら作品に手を伸ばす。

 そしてそのまま紙束に目を通し始めた。

 最初の数分は、一定の間隔で紙束をめくっていたが、徐々に速度が上がっていく。

「……これは」


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