第3話 0愚者(フール)「旅の始まりであり、終わり」の巻


変な妄想に浸っている自分がなんだか子どものようで、おかしかった。

ここの所毎日の繰り返しで、このような興味をそそる場所に

なかなかお目にかかったことが無く、

非常に興味が尽きなかった。

心配は無かったが、少し待ち時間が長くイライラした。

受付の女性がお茶を持ってきてくれたが、

妙に短気な気分だったので飲む気になれなかった。


予約した時間から待つこと十五分。

ようやくカウンセラーらしき人がやってきて

「こちらへどうぞ」と奥に案内された。

そこはまるで別世界だった。

大きい水晶の結晶がテーブルの上に置いてあり、

周りを絹の高そうなスカーフをカーテンに見立ててソファの周りを囲っている。

カーテンを隔てた置くには先ほど案内してくれた方のものと思しき机が置いてあり、

パソコンや筆記用具が置いてあった。

予約管理や事務をそこのテーブルでしているのだろう。

机の上のパソコンがどことなく日常感が出ていいて、とてもホッとした。

そして、目の前の不思議な物体にもう一度目をやる。

スピリチュアルな仕事は水晶玉が一般的だというが、

その水晶は原石を半分に割ったような感じで、

結晶がいくつも重なりとても美し過ぎた。

それはまばゆいばかりの光と、心なしか全てを見通せそうな透明感で

おそろしいほどの存在感があった。

まもなくカウンセラーが奥の部屋から顔を出し、

私に名刺を差し出した。

そこには「チャネラー」という職業名が書いていて、

かなり一般的な日本人の苗字と、名前が印刷されている。

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