詩『夢なき青年の人生という名の小説』

朝に起きてあくびを一つ 手元にあった煙草で一服


 今日も無駄な日が始まる。 朝に飯を食べ 昼に食べ 夜に食べ ただそれだけで溜まったなら排出するだけだ。


 無駄だと思えどもそれでもうだうだ悩み 生きる一人の青年


 皮肉に明るい太陽 背にして暗い部屋で仕事する日々  


 彼がかつては持っていた夢 投げ捨て 寝るときだけ見るようになったのはいつ?


 ああ たらればすら忘れて たらねばすら 諦めたことも忘れて ただ枯れて 掠れて消えた意味

 

 その意義すら異議持つことなく日々 ひび割れて しわがれていく 身体 


 意思なくして いじらしく ただ食って寝る 売って消える 時間 そして未完で終わらす 一生涯という名の短編小説


 

 灯りを消し、 横たわり 涙が一筋 拳を強く握る


 何もせぬまま終わった今日に憤り それでも息を殺し 怒り 悲しみだけを 見たり噛み締め 全て飲み込むだけ


 またか 思えども モヤモヤとした中身 ただ今日を生きただけ 一人の青年


 見えない月 窓の外 見上げて 何も持てず 眠る人

  

 彼が見るだけの夢 振り切って 手にするまであと幾夜の夜が必要?


 たらねばと語ならねばと 手のひらに握る 枯れたいつかの言の葉を 

  

 腐り果てず爛れた傷口に触れ 諦めたのにふさぎこむのは 何故?


 その意味に気づきかけて 無意識 拳を突き立て 明日へと向かう 一人の人間 


 起承転結 転へと帰結して いまだ道半ばの長編小説


 それはいまだ終わらず

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