地平線を昇る金魚を夢見て
地平線に潜り込もうと沈み込む金魚
まん丸くギョロリとした瞳と見つめ合う
オレンジ色の魚体を構成する乳白色の鱗たちはよく編み込まれた織り物の如く規則的に目玉を追いかけて
正確に織り込まれた長方形のヒレは微動だにせず、逆光に染められた黒は橙色に彩りを与えた
まるでさよならを言うようにふわりと揺れる尾びれを見送ると世界は水面へと沈み込んだ
深く
深く
ただ深く
光すらも追い越してどこまでも真っ直ぐに
取り残された僕は気泡のような声を上げて
ヒンヤリとした水中空間に立ち続ける
沈み込む金魚は何処へと到達しただろうか?
円環する水槽の中を優雅に泳ぐその姿を思い浮かべながら
背中側の空へと頭を向けて僕は待ち続ける。
身体を投げ出し、
瞳を閉じて
いつかまた地平線を昇る金魚を夢見て。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます