地平線を昇る金魚を夢見て


地平線に潜り込もうと沈み込む金魚


まん丸くギョロリとした瞳と見つめ合う


オレンジ色の魚体を構成する乳白色の鱗たちはよく編み込まれた織り物の如く規則的に目玉を追いかけて


正確に織り込まれた長方形のヒレは微動だにせず、逆光に染められた黒は橙色に彩りを与えた


まるでさよならを言うようにふわりと揺れる尾びれを見送ると世界は水面へと沈み込んだ


深く


深く


ただ深く


光すらも追い越してどこまでも真っ直ぐに


取り残された僕は気泡のような声を上げて


ヒンヤリとした水中空間に立ち続ける


沈み込む金魚は何処へと到達しただろうか?


円環する水槽の中を優雅に泳ぐその姿を思い浮かべながら


背中側の空へと頭を向けて僕は待ち続ける。


身体を投げ出し、


瞳を閉じて


いつかまた地平線を昇る金魚を夢見て。




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