詩『夜の来ない街』

なあ友よ、ここに来いよ


ここは夜の来ない街


煙の向こう。 朝焼けの絶えない街で窓際に一人立ち、赤紫の煙 燻らす


ここは夜の来ない街。


黒く暗い闇の代わりに白い夜が包む場所


友よ。 唯一の親友よ。


君は今なにをしているだろう?


君は今も、あの夕闇の中でうずくまっているのだろうか?


君の心が朝を迎えていることを心から願う。


だがもし君が今もあの閉じられた箱の中にいるとするのなら


なあ友よ、この街に来ないか?


ここは夜の来ない街


ここは夜の来ない街


決して夜の来ない街




昔の話なんて煩わしいかい?


それでも進むほど窮屈に思えるのならばどこで間違えたのかと振り返るのも悪くない。


強く思えどもあの頃は戻らないけれど


強く思い出せばあの頃に心は戻れる


大丈夫、夜は来ない。 だから暗闇は内側にしか存在しない。 怖がることはないさ。


友よ、この街の太陽は決して誰も見放さずにいつまでも地平に座り込むようにそこに居てくれる。


ここは夜の来ない街


ここは夜の来ない街


決して夜の来ない街


沈みきらない太陽がいつまでも俺たちを照らしてくれる


お前が毎夜、自身とその取り巻く環境に悩み苦しむことはない。


儚く消えても夜は来ない


だから友よ。 ああ友よ。 恥ずかしげもなく言ってしまえば親友よ。


この街に来ないかい?









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