憤りの砂
ジャリとした音が歯噛みする口内に広がる
それは砂に非ず
不正義と口惜しさにより人の誠心が削れ、剥がれ墜ちた残骸なり
誠心という燃焼物に憤怒という火が着火する。
激しく静かにけれど美しく燃えているそれこそが憤り
人間が悠久の間に拵えた美学なり
だが一切の物は滅びゆく運命であり
また美しきものは希少であるからこそまた美しいという価値を得る
人間という動物が心理的外傷のように、あるいはそうあるけしと望むことが証明のように誠心はこの社会の中において儚く散りゆく概念
理想という空想、幻想というよりも妄想に近いそれはこと人という獣の集団の中では噛み砕かれる氷のように脆い
しかし緩みきった口内でバキリと砕ける誠心の欠片は決して溶けることなく、粉砕されるまでジャリジャリとしたなにか後味の悪い感触となって君や私の中にいつまでも残るであろう。
それがまだあるうちは私は絶望しない。
きっと
多分
おそらくは……
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