もう若くはない君へ

年齢を重ねた君は自身を哀れむことをしなくなったことに気づくだろう。


若き日に耳を素通りした大人達の言葉が信実であることを君はやっと理解できた。


人生を後悔するほどに君は若くはない。


選べ人生を! 君は使い古したその言葉を思い出すだろう。


若い頃には見向きもしなかったそれを。


まるでやっと見つけた宝物のように胸に入れようとする。


だが押し付けた手を離せばポロリと虚しく落ちていくだろう。


君は人生を悔いるほどには若くなく、そしてやり直すには若くないことを自覚する。


そして気づくのだ。 後悔するのにも気力が必要だったと。


そして気づくのだ。 駆け上がるほどの体力も無い君は死んだ目でなんとか脱落しないよう現状維持を望む。


そういう人生を選んだのだ。


若き日に いつかのあの時に。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る