雪は降る

雪は降る。


しんしんと。 しんしんと。


山も木々も畑も田んぼも家の屋根も白く染めて。


歩く。 白を踏みしめて。 真っ白い世界に足の跡をつけ。


それ以外は何もない世界。 音も無い。


純白の欠片はハラハラと舞い、それらが煩わしい物を受け止めて沈黙と共に降りていく。


喧騒に慣れた耳にはよく沁み渡る。


試しに声を出してみようと思った。


ふとしゃがれた音が雪原にフワリと響き、また静かに吸い込まれていった。


無音の白が全てを受け止めて足元に着地していく。


その中を一人歩く。


そして雪は降る。


雪は降る。


雪が降る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る