父の日計画〜陽菜side〜
パパと日曜日どこに行くかを決めた次の日、学校で私は昼休みにご飯を食べながら、弥生ちゃんにこのことを話した。
「昨日パパと話したんだけど、遊園地に行くことになりました!」
「あれ? 動物園じゃなかったっけ?」
「パパから遊園地に行きたいって言ったんだ〜。なら、迷うことないよね!」
「そうだね! 父の日だもん! 秋本さんがしたい事言ってきたならそれをしてあげるのが大事だよね!」
弥生ちゃんが両手を合わせて目を輝かせてるのをみて、私がした事は間違いじゃなかったんだなと思う。
「そうだよね! よかった〜、弥生ちゃんに断られたらどうしようかと思ってたよ」
「私も遊園地行きたかったしね〜。遊びまくろうよ! それで何時集合にするの?」
「ちょっと早いんだけど9時集合でいいかな? 早めに行きたいんだよね」
「わかった! なら9時に秋本さん家に行くね!」
「うん! でも、お金の方大丈夫? なんなら私が払うよ?」
「大丈夫、大丈夫! お金ならお年玉があるから!」
「で、でも。結構高いよ?」
「気にしないでよ〜。一緒に遊びに行くんだしさ!」
「うん! パパは私と弥生ちゃんの分も払うって言ってたんだけど、流石に申し訳ないなって思っちゃって、勝手に私たちが払うって言っちゃったからさ」
「え?! 秋本さんが払ってくれる予定だったの?! 勿体無いことしたなぁ〜」
「ごめん」
「冗談だよ! やっぱり、可愛いなぁ陽菜ちゃんは!」
そう言って弥生ちゃんは私を横から抱きしめると、右頬をツンツンとしてきていた。
その仕草を見るととても可愛いと思ったのは私だけじゃ無く、周りの男子達もこちらをチラチラ見ていた。
「や、やめてよ弥生ちゃん。男子達もこっち見てるからさ!」
「えー、どうしよっかなぁ〜」
そう言っているが迷うそぶりもなく、やめてくれない。なんならツンツンだけじゃ飽き足らず、今度は頭を撫で始めた。
「これ以上するなら、後で覚悟してね〜!」
「はぁ〜い。やめま〜す」
そう言って弥生ちゃんはやっと私を解放してくれた。そのおかげで男子達もこっちを見るのをやめてくれた。本当に有難い。いやらしい目で見られているように感じて正直嫌だった。
「それにしても、父の日に私が入っててよかったの?」
「うん! どうせパパは父の日なんて気にもしてないだろうし。それに、2人きりで遊園地とか、まだちょっと早いっていうかなんというか」
「ははぁーん。遊園地デートはまだ恥ずかしいっていうことね! 全く陽菜ちゃんは秋本さんの事好きすぎじゃない?」
「そ、そんな事ないよ。私なんて相手にもされてないし、パパからしたら、本当に娘と出かけてる感覚かもよ?」
「今はそれでいいんじゃない? 20歳になってからが勝負だからね! まぁその前に私が秋本さんを貰っちゃうかもだけど」
弥生ちゃんはとんでもない爆弾をさらっと落とした。
ま、まさか弥生ちゃんまでパパの事を狙っているの? そうなったら私が勝てるわけがない。どうしよう。
「弥生ちゃんでもパパはあげないから! パパは私のなんだからね!」
「でも、秋本さんにだって、同僚の人とかで好きな人とかいるんじゃない? 秋本さん結婚してておかしくない歳だし、もしかしたら言ってないだけで彼女いるかもよ?」
そんな事弥生ちゃんに言われるまで考えた事なかった。確かにパパは1度振られたと言っていたが、あの後すぐにできたかもしれない。弱っているところを優しくされてコロッと恋に落ちちゃったかもしれない。
や、やばいよ〜。
「そ、それはないんじゃないかな。この前振られたばっかりだし」
「ふーん。秋本さんを振る女性がいるんだね。あんなにいい人なのに」
「そうなんだよ! ほんとパパの良さをわかってない人が多すぎる!」
「でも、その良さに気づく人だって現れるかもよ? まぁ今から考えててもどうしようもないとは思うけどさ」
た、確かに弥生ちゃんの言う通りだ。
もし、パパが他の人と付き合ってしまったら、私はお邪魔虫なのではないかな? そうなったら私は捨てられるのかな。嫌、嫌だよそんなの。
「……そうだね。後でパパにでも聞いてみる」
「う、うん。陽菜ちゃん? 大丈夫?」
「大丈夫だよ!」
そこでチャイムが鳴り、自分の席に座る。
午後は弥生ちゃんに言われた事をずっと考えていた。
今はパパが私を引き取ってくれているが、いつまでパパの元にいれるのだろうか。いつか私は捨てられてしまうんじゃないかなど、頭の中を負の感情が渦巻いていた。
午後の授業も終え家に帰り、パパが帰ってくるのを待っていた。
「ただいま〜」
「お帰りなさい!」
パパが帰ってきたのを確認し、いち早くパパに抱きついた。
「お、おう。どうした? なんかあったのか?」
「パパは、私の事捨てるの?」
「いきなりだな。捨てるわけないだろ。そんなに心配だったのか?」
「うん。パパに彼女ができたら、必然的に私が邪魔になるんじゃないかって。そうしたら私要らなくなるんじゃないかって」
「うん? まず俺に彼女ができることはないだろうから、気にする必要ないぞ? 会社でも女性陣には嫌われてるしな。ったく、心配しなくたって俺から陽菜を捨てるなんて事するわけないだろ」
「よ、よかった〜! 安心したよ!」
「おう。そーゆーわけで、そろそろ離れてくんない? ほら、何がとは言わないが、当たってるからさ」
「はーい!」
そう言って離れた私は、嬉しい気持ちで一杯だったのか、ずっとニヤニヤが止まらなかったのであった。
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