2ページ
ブラッディ・メアリーを煽る姿はいつもと変わらないけれど、少しずつ恰好や表情、雰囲気が変わっていると思う。『結婚なんて別にしなくても仕事があるし』なんて言っていたことが懐かしい。格好良かったスミレさんがこんなに可愛くなるなんて。
「素敵な彼氏さんですね」
「そ、そんなことないけど。別にその辺にいるような普通の奴だし」
普通の奴って、またまた。普通の、どこにでもいるような人だったら、どうでもいいで済ますくせに。ちゃんと気持ちがあるから、傍にいているし指輪だってちゃんとつけているんでしょう?
「彼のどこが好きなんですか?」
「え?」
「お仕事のこと、応援してくれたんですよね?」
女性には危険すぎる仕事でも、頑張っているスミレさんを見て応援してくれたんだよな。だから付き合ったんでしょ。
「それもあるけど、あいつちょっと変わっているから」
「変わっている?」
「だって超仕事忙しいのに徹夜明けとかでも少しでも時間があったら顔が見たいとか言って朝食一緒に食べようとか言ってくるし、貴重な休みの日には家で寝ていたらいいのにいろんな所に連れて行ってくれるし、わたしが仕事の話をしても退屈そうな顔しないし、一緒に居ると楽しいねって言うし、指輪も可愛すぎるからって断ったのに、絶対似合うからって渡してくるし。知ってる? あいつの秘書、めっちゃ美人なんだよ? 恋愛するなら絶対そっちじゃんって思うじゃん。身長だってわたしの方が高いし、それなのに」
「・・・それなのに?」
急にスミレさんは気づいたようにまた両手で顔を覆い出した。もう遅いって。
「ふふふ、きっと今ここに彼がいたら大喜びでしょうね」
「そ、そんなことないし。絶対あいつの前では言わないし・・・」
言わない、とは言ってもその顔を見るだけできっと彼にはばれているんだろうなぁと微笑ましくなる。
「だからニヤニヤしないでって」
「ふふふ、ごめんなさい」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます