6. 殺人姉妹の意思
ギルドの様子や、セイラさんの言いぐさからして
これはただ事ではない感じだった。
「落ち着いてください。まず事情を説明してください。
これは一体…何でこんな熟練冒険者達が負傷しているんですか?」
「事の始まりは今大陸を騒がしている、山賊たちです。」
そう言えば最近確かに、この世界の新聞的なもので
言っていた。
「それでですね、最近この近くにその山賊たちが
潜伏していると言う情報がギルド本部から来て、
それで大型の討伐パーティーを組んだんですが。」
セイラさんは一息おいて、
「ご覧の通り、この有り様です。」
しかし、ここまでの冒険者を返り討ちにするなんて、
余程の実力者なのか、あるいは数が多いのか、
とにかく事は一大事なようだが、
それで何故私達を待っていたのか?
「それでですね、お二人にお願いがありまして、
山賊たちを追い払う、あるいは捕まえてください。」
…………ぇ?いやいやちょっと待ってくれ、
「どうして私たちなんですか?外からもっと強い人を呼ぶとか…」
わざわざ私達に頼まなくても…
けれど、セイラさんは首を横に振って、
「今からでは少なくとも5日はかかります。
その間にこの町を乗っ取られたりでもしたら…」
その声からは必死に恐怖を押さえ、わずかの
勇気を振り絞る感じだった。
その姿や負傷した冒険者達、町の人たちの
不安な顔を見ていると、表現できないような
感情が胸にあった、
「ですから、この町であとはお二人が頼りなんです、
お願いします。」
「お姉ちゃん…」
横からラナが真剣な表情をして言ってきた。
「お姉ちゃん、私この町に来てそんなに経ってないけど、
この町が好き、初めてお姉ちゃん以外で好きだと
思えるものが出来た、そんな町がこんなことになっているの
私は耐えられない、何とかしてあげたい。」
ラナの思ってる事は私も分かる。
自分もこの世界に来てから、ラナ以外で好きだと
思えるものが多かった。だからこそ、
「分かりました、私達で何とかしましょう。」
そうして私達は、宿に一旦戻り準備をした。
準備が完了し、宿を出ようとしたら
テスラが前に出てきて、
「待ってルナ、何処に行くの?」
「…………………。」
私は答えなかった。
「まさか、例の山賊たちの所に行くの?」
「…………………。」
「止めて、ルナ達をそんな危険な所には行かせない。」
私は歩を進めた、
そして何も言わずに通りすぎようとした、
「待って!」
後ろから私の腕をつかんだ、
「止めてよ……行かないでよ………ルナ達が無理にいくことないよ………
私さ…同い年の友達なんて居なかったから……
ルナと会えて……友達になれて嬉しかった。
そんなルナが…居なくなるかもしれないなんて…
嫌だよ……居なく…ならないでよ……」
その声は今にも泣きそうな感じだった。
私は………
「私も、テスラと友達になれて良かったと思ってる。でも」
いや、だからこそ私達は、
「この町を、テスラが住むこの町を守りたいと思った。」
私は振り向き、両手でテスラの手を掴み、
まっすぐ見つめて、
「大丈夫こう見えても、戦いには慣れてるから、
必ず戻るわ。」
微笑みながらそう告げ、私達は宿を出た。
山賊たちがいる場所はギルドで聞いてきた。
地図を頼りに森を進むと、大きな屋敷のような
建物が見えた、ギルドで聞いた情報と似ていたので
恐らくここだろう。
ちなみに、ここで少し不思議なことが、
ここまで来るのに生命探知を使ったが、
何故か人の魂の反応が無かった。
屋敷に接近し、室内を確認する。
中には確かに、山賊と思わしき集団がいた。
しかしやっぱり生命探知には引っ掛からなかった。
恐らくやつらの中に妨害系の魔法が使えるやつが、
いるのだろ。
数をざっと数えてみたが、100人近くはいる。
いくら前世で殺ってきたからと言っても、
この人数は少しきつい、なので少しずつ減らすことにした。
まずは見張りにいる数人を片付ける。
真上の後ろから、先制攻撃をし、
高々と宣言した。
「こんにちはお兄さん方♪」
「私達と一緒に………」
『楽しいことしませんか?』
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