2. 相手のスライムがでかすぎる件

まさか異世界に来て、いきなりこんな奴と

戦わないといけないなんて。

しかも殺意むき出し、スライム倒しすぎたせいかしら?


そんなことを考えつつ、この状況を打開できないか

考えていると、先にスライムが動いた。


「っ!!」


「お姉ちゃん!」


その巨体からは想像できない、スピードで

私の方へ体当たりしてきた。

反応が遅れ吹き飛ばされたけど、

受け身をとり衝撃を最小限に留めた。


「くっ!やるわね。」


最小限に留めたからといって無事ではなく、

全身もそれなりに痛かった。


「このっ!」


妹がナイフで反撃したが、意図も容易く

避けられてしまった。

私も体勢を立て直し鉈を構えた。


「お姉ちゃん、今更だけどどうする?」


ラナが警戒しつつ私に尋ねた。

私は言うまでもないと思いながらも答えた。


「仕方ないけど、やるしかないわ!

私が引き寄せて隙をつくるから、

それを狙って。」


そうして私は巨体のスライムに突っ走った。

スライムも私に向かって体当たりを

してきた。私はそれを鉈を使いながら

受け流しかわした。


しかし、1つ思ったのだがこれだけの巨体で

かなり早いスライムもそうだが、

それなりに互角にやれている私も、どれだけ早いのかと思っていた。

それにせめてこのスライムの名前くらい分かればと

思っていたら、急に視界に文字が浮かんできた。


《ビックスライム》

ステータス

HP 268

攻撃 107

物理防御 364

魔法防御 120

素早さ 291


なんと!自分でも驚いた、いきなり視界に

相手のステータスらしきものが見えたのだから。

しかし、すぐに理解した。これはあの天使の娘が

言っていた、転生特典の一つだろう。

あの言いぐさからして、一つだけではないと

思うが、とにかくこれはラッキーだ。


思いがけない収穫をして、少し油断していたら

ビックスライムが、体当たりをしてきて

反応出来なかった私は、それを真正面から受け止めてしまった。


すると次の瞬間、あることを閃いた。

ありったけの力を込めて、ビックスライムを

空へ弾き、それと同時に、


「今よ!ラナ!」


私の掛け声に合わせて、ラナはナイフを

二本ともスライムめがけて投げた。

大抵の生き物は、空中で攻撃を回避するのは難しい。

ならば、それを利用すれば確実に仕留められる。


そう思っていたのに、あの時の軌道は完璧だった。

勝った!そう思っていたのに、まさか空中で

分裂して避けるなんて、けれどこうなったら仕方ない。私はすぐさまラナに向かって、


「ラナ!こうなったら接近してさっさと

仕留めるしかないわ!一匹よろしくね!」


ラナが返事をする前に、私は二匹の内の一匹に

接近して鉈を降り下ろしたが、

瞬時に避けられた、当たったとしてもあまり、

効いているようには見えず、しかもそれがかなり長く、

だんだんイライラしてきた。


いい加減終わらせたい思いで一杯の中、

その時の攻撃が当たった瞬間に、

スライムが塵のように消えていった。

さて、ラナはもう終わらせたかと様子を見に行く。


お姉ちゃんがスライムの攻撃を喰らった時は

心配したけど、そのあとに空中に投げ出す

ことで隙を生んでくれたから、そこで仕留められるかと

思っていた。


でも現実は違っていた、まさか分裂で避けるなんて

考えられなかった。


お姉ちゃんも、まさかこんな事になるなんて

思ってなかったらしく、少し焦りが見えた。

でもすぐに冷静さを取り戻した。


やっぱり、お姉ちゃんはすごい、いつも冷静に

周りを分析して、最善の策を考えてくれている。

そして今も、だったら今私が出来ることは、


「まずは 、目の前のスライムを倒さないとね!」


そうして私はもう一匹のスライムに向かった。

元々前世でも相手の周りを動きまくって、

相手を翻弄して殺すスタイルだった、

ちなみに、この世界では私はかなり動きが早かった。


自分の力加減を簡単だった、森を探索している中

地味に体を慣らしていたし、大丈夫だった。


そうして私は、スライムの周りを回って

攻撃するという、ヒット&アウェイで

やっていて、意外と効果的なのかスライムも

私の動きを捉えられておらず、

結構有効だった、このままいけばと思ったけど、

流石に動きを読まれ、避けられた。


逃がすか!と思い、ナイフを投げた。

私のナイフはワイヤーが付いていて

すこしの軌道修正なら出来る。


しかし、素早く避けられた、軌道修正も

出来ない位置まで離れていたので、

どうにか当たってほしいと思っていたら

いきなりナイフの向きが変わり、

スライムに当たり宝石を落とした。


何がおこったのか分からないけれど、

とりあえず宝石を回収して、

お姉ちゃんと合流しよう。


ラナの様子を見に来たときには、

もう倒して宝石を回収している様だった。

こっちに気づいたらしく向かってきて。


「ねぇ、お姉ちゃん大丈夫だった?」


「えぇ、大丈夫だったわよ。

そっちは・・・大丈夫そうだね。」


「そうそう、私さっきね、ナイフが勝手に

スライムに当たるような事があったの。」


「そうなの?私も似たようなことがあったわ。」


この世界に来てはじめて起こったこと、

多分魔法の類いか何かではあると思うけれど、

詳しくは町に着いてから調べるとしよう、

それよりも、


「まぁでも、あんまりモンスターは多く狩るなって

事は学んだわ。」


そんなのんきな事を話ながら、私達は町を目指していく

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