1. どうやら異世界へ転生したらしい


気がついたら森にいた、何故森に居るのかは

分からないが、それまでの記憶なら覚えている。


私は前世の世界で妹のラナと共に自殺し、

天使みたいな子に感謝され、お礼に第二の

人生を送れるようにしてくれたらしく、

そして、ここは転生した異世界なのだろう。


少し辺りを見渡すと、横でまだ気を失っている

ラナの姿があった、その無邪気な寝顔を見ると少しほっとした。

でも、状況は良くない。私達はここがまだ

どういう所なのか把握していない、

危険があるのか、どこの位置に居るのか

その辺りの情報が欲しい。


私があれこれ考えていると、ラナも気がついたらしい。

少し辺りを見回すと、私の方を向いて、


「・・・・お姉ちゃん?」


と聞いてきた。私は微笑して、


「えぇそうよ、あなたの姉、ルナよ」


「良かった。前世とあんまり顔変わってないけど、

間違ってたら嫌だし。」


そう言って、ラナは笑った。

どうやら、私もラナも前世と顔の変化には大差ないらしい。

それも、あの天使の娘がそうしてくれたのだろうか?

とにかく、今後の事をラナに告げる事にする。


「ラナ、私達は一度死んだ、そして、

今は第二の人生、私達がここで生活するためにも、

この世界の情報をしばらく集める。」


そう言うと、ラナは頷いてくれた。

まずは自分達の所持品を確認した。

私が持っていたのは、前世で使っていた鉈包丁

それと、この世界の通貨らしき金貨を数枚。

ラナも、前世で使っていたワイヤー付きのナイフ二本、針を数十本と私と同じように、金貨を数枚。


この世界の通貨を少し持てるのは大きい、

それに、前から使っていた武器を使えるのは嬉しい、

実際私は、鉈以外の武器を使ったことがないから

これはありがたい。


しばらく森のなかを探索していたが、

鹿っぽい動物ぐらいに会えただけ、

とりあえず森を抜けようと少し歩いたら

広い草原に出た。


広い、とにかく広いそういう表現しか出来なかった。

牛とかの家畜を大量に放し飼いしても大丈夫なくらい、

遠くの方にうっすらと建物が見えるため、

まずはそこを目指すことにした。


移動している中、ラナはかなりご機嫌そうだった、

スキップや鼻歌もしていたので誰でもそう感じとれた

森を探索している時も、少しウキウキしていた。


「ラナ、楽しいのは分かるけれど、もっと気を付けないと転ぶわよ。」


楽しそうだが、見ていてとても危なっかしくも思える。

度々つまずきそうにもなるし、前世でもそう言うことは

よくあった。けれどラナは、


「大丈夫だよお姉ちゃん、それに仕方ないじゃん♪

前世では、こう言うのんびりした時間ほとんど

無かったじゃん。だから嬉しくて。」


確かにラナの言う通り、前世ではこう言う時間があまり無かった。


その原因の1つは、私達の殺人癖。

初めて人を殺した日から、私達は人を殺したい

欲求が強くなった、定期的に人を殺さなければ気が狂ってしまいそうになる。

けれど最近は段々と欲求が無くなっていた。

それを気に、普通になろうと思ったがその矢先に

あの出来事があった。


今となってはどうでもいい話だ。

経緯がどうであれ、今こうして過ごせているのだから良い。

そうして前世では到底思わないことを考えていると。


「わわっ!」


いきなり目の前でラナが尻餅をついた。

結構勢いよくついたらしく、顔は歪んでいて

少し涙目だった。

私は笑いをこらえながらラナを起こし、


「だから言ったでしょ、気を付けなさいと。」


「う~ん、何か踏んだような感触が・・・」


と言うからラナの視線の先を見てみたら

何か青い物体があった、それをよく見てみると

ゲーム等で序盤に出てくる、スライムだった。


踏まれて怒っているのか、ラナの方へ体当たり、

そしたらラナが反射的にナイフで切りつけると

スライムが謎の宝石を落とした。

その宝石を拾って、


「何だろうねこれ、お金に出来るとか?」


「たぶんそうでしょうね、町に着いたら聞いてみましょう」


その後も、スライムだけでなくゴブリンや、

猪っぽい奴も倒し、宝石もそこそこ集まってきた。

そんなとき、


「ねぇお姉ちゃん、何かあのスライムこっち見てるんだけど。」


「なにかしらね、他の奴みたいにすぐ襲ってくないのかしらね。」


その時私と妹はほぼ同時に、異変を感じた。

そのスライムが段々と大きくなっていった。


「お、お姉ちゃん・・・あのスライム少し大きくない?」


「少しどころじゃないわ!大きすぎる。」


そのスライムは170cmの男より大きく、

明らかにこちらに対して、殺意を向けている。

こんなのを相手にするなんて、異世界に来て初めてのピンチ。

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