第5話 メインヒロインの条件

「私はこの物語のメインヒロインです」


「自分で言いきっちゃったよこの人」


「只のヒロインではありません。ラノベ界の新約聖書、スレイヤーズの時代から続く、貧乳系魔法使いの系譜を受け継ぐ、まな板有能魔法使いです」


「有能、まな板だと?!!」


「ちなみに旧約聖書はロードス島戦記です」


「そっちは知らないなぁ」


「いいえ。ロードス島戦記がなければ今のラノベエルフ文明は存在しないのです。よってふるちんさん。地中海のロードス島に向かって、敬礼!」


「お、おう!敬礼!!」


 しばらくして、地中海のロードス島が水野良のロードス島戦記と何の関係もない事を俺は知った。


「魔法使いの女性はヒロインとなる際に、その胸を対価に捧げ、絶大な魔力を手にしてきたのです。リナ・インバース。御坂美琴。レレイ・ナ・レレーナ。遠坂凛。そしてめぐみん。彼女達は皆、バストサイズという名のベヘリットを贄とし、メインヒロインというゴッドハンドに名を連ねた者達なのです!!」


「捧げるうううぅうううううう!!!!!」


「これによって得られる膨大な魔力。いえヒロイン力は53万などというレベルではありません。人類70億の生命を注ぎ込んで造った賢者の石。或いは一万三千年人類史をすべてエネルギーに変換して撃ち出す、言うなれば人理装填とも言える物でしょう!!!」


「でも北欧の地味な魔術で足止めくらいは出来そうだよな?」


「やだなぁ。私はヒロインですよ?魔法を使いすぎて動けなくなったり、筋力自体は普通の人間並みだったり、魔法のバリアの無い状態で普通に金属製のナイフやトンカチで攻撃されると重症を負ったりするに決まってるじゃあないですか」


「なんかやたら欠点多い気がするんだが」


「逆に考えた結果ですよ。『全知全能』の転生チーターだと、能力が一つで表現されてしまって面白くありません。その点私は暗黒系と聖属性の魔法が使えませんから、現実世界の人間なんて弱すぎて話にならないんですよとかそういう事は言えません。だって相手を即死させる暗黒魔法が使えませんからね。あと、聖属性の魔法が使えないので、自分を回復させる治癒魔法はもちろん、初歩的な照明ライトの魔法だって使えませんよ?」

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