第4話 死

刃は、止まっていた。少女の目の前で。ただ、私の前に割り込んだ人の体を貫いて。

「ああああぁぁぁぁ!まただ!またお前に邪魔された!何故だ!何故邪魔をする!」

「何か」は叫ぶ。

「...あいにく、この子には死んでもらう訳にはいかないんでね」

前の人が「何か」に答える。声からして、この人は女の人だ。

「すべてを捨てた。記憶さえも失った!やっとここまで来たんだ、もう邪魔しないでくれ!」

「何か」はそれでも私を殺そうとして、更に剣を深く突き刺そうとしている。

「分かっている。分かっているよ...」

前の人は、深く頷いた。

前の人が両手の手のひらを前に向けて重ね、呪文を唱えると、手のひらに複雑な魔方陣が浮かび上がる。

「だからもう、楽になれ」

そう言った声は、恐ろしいほど冷たかった。

前の人の手のひらに、膨大な魔力が集まっていくのがわかる。

「それは、炎の禁呪...そんなものを使うと、お前も死ぬぞ」

「...別にいいさ。お前を殺せるのならな。じゃあな、サヨナラだ。もっとも、私ももうすぐだろうがな」

前の人の手のひらから真っ赤な炎が吹き出す。

「何か」は、燃やし尽くされた。灰になっても。

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