第030話『りう"ぁいあさんの○○○ 3』
レグレス爺さんはカリバーを両手で抑え、無言のままリヴァイアサンの体内を転がり回る。
……おかしいな。
たしかに『
"
「すまん仲間が待ってんだ。 次冗談かましたらぶっ殺すからな」
「………ひぇ。 おっかねぇお嬢さんだぁ……」
開脚し、カリバーに風を送るレグレス爺さん。 もうこれ爺さんのカリバーを眺めるサービス回に変わりつつあるぞ?
♢
セクハラ爺さんを連れてリヴァイアサンの体内を探索する。
奥に進んでいくうちに、魚の死骸などが転がっているが、人間の死骸はひとつも見当たらない。 人間が口に合わないか、逆に好物すぎて一瞬で消化したとか?
いいや前者だろう。
現にこの爺さんが生きている時点でリヴァイアサンは人間をうまく消化出来ないことが分かる。それか本当に爺さんのカリバーに何らかの力があるかぐらいだ。
まぁ、見た感じただの粗チンなのでありえないと思うが。
………と、無慈悲な視線を爺さんのカリバーに注いでいると、
「………おおっ!! この奥に何かを感じる……!!」
いきなり大声をあげた。
それと同時にカリバーが…………言葉に表すのも穢らわしいので察してほしい。
「なぁ爺さんよ。 そのお粗末なものがレーダー代わりとか言わないよな?」
「………ははっ。 お嬢ちゃんにはまだ早いかのう。 これは朝だ―――――」
「はいはい今昼過ぎだから。 普通に生理現象とでも言え。 ここ出たらあんた牢屋にぶち込むからな?」
割とマジで睨みつけると、爺さんとカリバーがしゅんとなる。
………もうこの話題に触れるのやめよう。 自分の株が下がるだけだ。
ついでなので爺さんが反応した場所まで駆け寄っていく。………すると、
「………リヴァイアサンの、、、"卵"?」
「おぉ………!! 神秘じゃ………」
小さな穴を潜った先には数にして10個程の白い卵が眠っていた。
………つまりここはリヴァイアサンの子宮――――ってわけか。
意外な光景を目のあたりにして、唖然とする俺だったが、爺さんは好奇心旺盛に卵をペタペタと触り始め、終いには涙を流し始める。
「わしの………わしの長年の夢が今叶った………!!」
『長年の夢』………?
その疑問を抱かせる単語に俺はつい反応してしまい、
「なぁ爺さん。 あんたもしかして―――――」
「あぁ。 神獣考古学者なんじゃ。 因みにわしが英霊召喚を駆使した『生成魔法』を開発したんじゃぞ? すごいだろぉ??」
え………。
まず驚くところが、魔法の歪さ。
え? 普通に生成魔法とか使ってたけどあれって英霊召喚とかいうまた別の技術を使った魔法で……………うわ、なんか深い。 魔法真理深い。
別世界の住人且つ40歳近いおっさん頭脳では到底理解できないであろう。
……今更ながら魔法がバンバン打てるのは魔力に底がないだけではなく、詠唱時の歪なプログラムを短縮するチート補正も授かっていたのだと痛感する。 異世界なめてたわ。
そして何よりこの爺さんをなめてたわ。
「もしかしてこの卵を探すためにわざわざリヴァイアサンの中に入った………ってことか?」
「そうじゃよ。 まぁ、20年も探して見つからなかったから諦めかけていたんじゃがな」
そう、楽しそうに答えると、爺さんは卵を叩いたりして何らかの調査を行っていた。
あまりに生き生きとした表情をしていたため、止めるに止められぬまま、座り込み爺さんの作業を眺めていた。
「なぁ爺さん。 卵を見つけたら何になるんだ?」
暇なので、他愛ない質問をぶつけてみると、爺さんは俺を軽く睨みつけ、
「何馬鹿な質問をしておるのじゃ、歴史が変わるんじゃぞ?! 『神獣に性別があった』なんて知ったら全世界が湧くぞって?!」
正直何言ってるか分からないが、恐らく三分カップラーメンが10秒で出来上がる法則を見つけたぐらいの快挙なんだろうとは勢いからして理解出来た。 まぁ興味ないがな。
「これを見つけ出せたのはお嬢さんのお陰だ。懸賞金ぐらい山分けにしてやるわい」
………ん? 懸賞金? 山分け?
その言葉により、俺の心は動かされ、興味が湧いてくる。――――き、聞くだけだ。 取り敢えず聞いてみよう。
「そ、それって幾らぐらい――――」
「………うーん、そうじゃな。軽く80億ペリアぐらいじゃな――――」
「よしわかった早く出よう」
完全にだらけきった身体を起き上がらせ、リヴァイアサンの体内に両手を添える。
「なぁ爺さん。その卵があれば証明出来んだろ? ならこのリヴァイアサンぶっ殺してもいいか?」
「―――――えっ」
いいや聞くまでもないよな。
早速巨大な魔法陣を無数に展開させる。聖剣が無くともこの技は使えるはずだ―――――ッ!!
腰を引き、拳を構える。
………まるで大木を割る武闘家のようなポーズを取り、そのまま拳を勢いよくリヴァイアサンの体内にぶつける―――――――
「
眩い閃光と共に、リヴァイアサンに強烈な打撃が入る。―――――凄まじい破壊音と共に、リヴァイアサンの鳴き声が体内まで響き渡る。しかし、
(………神獣って言うだけあるな。 タフな身体してやがる)
死傷的攻撃には至らなかった。
やれやれとその場に座り込むと同時に、爺さんの身体がブルっと震える。
「お、お嬢さん。さっきの技、魔導書に載ってないはずじゃが―――――というか初めて見たぞあの技………」
研究熱心の爺さんに俺は愛想笑いを返す。 すまないね、
聖剣から授かった新たな魔力で力を放出しているだけの古典的な技なのである。
俺と聖剣は一心同体。
力を使おうとした際、力が込み上げてきたものでね。
………さて、技の解説もいいが。
「はぁ。パァーっとセルベリアがリヴァイアサンを倒してくれそうなのになぁ………」
淡い期待を持ちながら、胃液………膣液塗れの床に倒れ込んだ。
もう、俺は限界です。
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