解読

「どうしたんだい?」

父のレインが振り返って聞いた。

「父さん、これ読める?」

レインはセディから手紙を受け取った。ポムリエは驚いて慌ててレインの服をつかんだ。

「ダメ!お兄ちゃんしか見ちゃダメなの!」

と怒って手紙を取り上げた。

 そしてセディの足に手紙を押し付ける。

「ごめんポムリエ。でも僕にはこれが読めないんだ」

「お兄ちゃんなら読めるもん!自分で読んで!」

ポムリエはむくれてぷいっと背をむけた。

「ポムちゃんおいで」

と母のアルスに呼ばれ、ポムリエはアルスの居るベッドに駆け寄った。

 アルスがポムリエを抱き上げベッドに座らせる。

「お手紙上手に書けてたね。なんてかいたの?」

アルスはポムリエの顔を覗きこんで聞いた。

「お母さんにも教えない!お兄ちゃんだけなの!」

ポムリエはふて腐れたように言った。

 セディがベッドに歩み寄るとベルが気付いてだっこと手を伸ばしてきた。

 セディはベルを抱き上げると、安心したように肩に頭をもたれ甘えてきた。

「ベル、ずるい!」

ポムリエは慌ててセディの服をつかんで引っ張った。

「分かったから」

セディがベッドに座り片手でベルを抱いていて、反対の手で抱きついてきたポムリエを抱き締めた。

「モテるねお兄ちゃん」

とアルスがセディの首に後ろから抱きついた。

「お母さんまでやめてよ」

セディは苦笑してポムリエの頭を撫でた。



 その日の夜、夕食を済ませたセディは絵本を見るポムリエに紙を差し出す

「アルファベットと数字を書ける?」

と聞くとポムリエは

「もちろん書けるよ!」

と鉛筆でアルファベットを順に書いていった。最後に数字を0から9まで書いて自信満々に差し出した。

 言われてみればそうも見えるが単独で見たら読めない。

「上手に書けてるね、ありがとう」

とセディはそれ受け取り、部屋に戻った。

 手紙と照らし合わせると文が解読出来そうだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る