第3話

 大学の試験勉強なんて簡単だ。そんな話を兄から聞いたことがある。実際に過去問通りに出題する先生は多い。だからそんなに勉強しなくても高得点が取れる。記憶力が勉強に活かすことができるようになり、さらに忘れない頭の柳地ならなおのこと。

「はいこれ。部活の先輩から貰ってきたわよ」

 山岸が柳地に過去問の束を渡す。

「これだけあれば今回の試験も簡単にパスできるな。あっでもこっちの4教科は回答がないぞ?」

「それら教科は問題だけしかないんだって。そう言ってたわよ。でも三ツ村くんからすれば大したことないでしょう?」

 それはそうだ。講義にはサボらず出席しているし、配布された資料やレジュメも全部取ってある。先生が黒板に書いたことや言ったことも全部ノートにメモしている。

「明日は土曜で休みだし、今日のうちに終わらせてしまうか」

 徹夜はしない主義だししたこともないが面倒なことはさっさと終わらせたい。そう思って机に向かう。

「じゃあ私は、今日は帰るわね。また月曜日に泊まりに来るから」

「ああ。気を付けて帰って」

 山岸を送り出した。1人で問題を解いていく。

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