定理証明の理論定義
円卓を囲むように4人の少年少女が座る。その空間は真っ白で円卓以外に何もない。
「揃ったか」
1人の少年が確認する。
「えぇ…揃っているわ」
1人の少女が答える。そして4人は何度も行ってきた終わりの結末を知る。
また始まっている。終わりを証明しそれを答えだと決定した世界が動いているのだ。
もう一度、間違うように動き出した。
「……結末は、何をしても変えられないのか」
少年は呟いた。滅びの結末を変えようとした自分達の努力が全て否定されていることを目の当たりにしてその言葉しか出てこないのだ。
氷柱少年は自分が見てきた世界を思い出す。幾億とも繰り返した結末を思い出す。それは覚えていなければならない記憶。この場にいる全ての証明者が記憶している。
一度目はソラが落ちてきた。ソラに当たり前のようにある光が落ちてきた。そして巻き込まれこの星は終わった。
そして、その瞬間に生み出されたのが
定義者、定理者、証明者、そして解答者。この四つを世界に産み落とした。
この星に四つある柱。氷で創られた柱。人呼んで氷樹。螺旋状の柱は人を寄せ付けずしかし人に歩み寄った。
一度目は定義者が世界を決定した。
そして訪れる二度目。
世界が全て凍った。文字通り全てが凍ったのだ。ソラに浮かぶ光も時間も他の星も終わりを迎えた。
そして二度目は定理者が決定を下した。そうして世界はまだ始まった。
三度目は長く続いたと思う。氷樹にも学習するという機能は備わっている。世界が必死に終わりを否定するために。
しかし、長く続いたとしても世界は終わった。結局長かっただけだ。延命にも満たない僅かな時を人は争いに費やした。そしてヒトは仲良く同族同士争い絶滅。わかりやすく単純な終わりだった。
そうして世界は終わっていくうちに始まりに戻る術を知った。
世界が戻した四度目。
ありきたりで当たり前に寿命がきた。初めて終わった日と同じ時間に星と世界は機能を止めた。
そして始まりと終わりが何度も繰り返されるなか、星に産み落とされた者達は必死に考えた。意味がないかもしれないという恐怖にかられながら何度もの終わりを迎え始まりを迎えた。
試行錯誤の連続だった。一つがダメなら二つ目を、とそんなことを繰り返す。
証明者が迎えた幾億ともつかない終わり。決定した答えは簡単に壊された。
しかし
その案は自らの存在を犠牲にするもの。そして自分が成し遂げられないものを全て預ける行為だったからだ。
円卓を囲む四人はその最期を実行に移そうとしていた。
「……そろそろ世界が始まる。これは最低の決定だ。けれど、俺たちにとっての最後の救いだ」
これが失敗すれば世界もなにも守りたかった星は確実に終わる。
解答者の少年が決定を下す。
「……俺たちの救いを始めよう。凍りに包まれ光に飲まれたこの星の最期の救いを」
少年の声に三人は頷いた。
そして証明者の少年がその救いに名前をつける。
その未来に色が溢れるように願って。
「…氷柱少年が決定を下す。今、この瞬間をもって最期の救い————」
未来に色彩の花束を与えるために世界を愛した少年少女は世界を壊す。人々に全てを委ねる。
「
——この救いに価値があると信じて
ワイルドカード【氷柱世界のアルガスル】 楠木黒猫きな粉 @sepuroeleven
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