第36話 片山大臣のHPに「ウケるんですけど」
「日本国民first!アベノミクスの提言」
こういうストレートな性格なので、一部の人だけがズルく得をし、正直でまじめな日本国民が損をする状況は絶対に許せません。(中略)政治は「信なくば立たず」。血税、政党助成金が充てられる政党助成金が私的流用されない仕組みを作ります。(片山さつきHP、手書きメッセージ)
「自民党の論客としてTV番組出演多数!」
「あなたの声を聞く度NO.1」
「被災地入り70回超!」
「原発被害の被災者相双地域商工会が支援する唯一の国会議員です」
いずれも、片山大臣が自身のホームページで自画自賛しているセールス・ポイントだ。
「彼女のHPを見ると、全国各地の新聞から業界紙などまで事細かに自らを取り上げた記事や参加したイベントの記事をアップしてるんだよね。今回の国会で追及されている記事や反論している記事も載せたらいいのにね」
「例えば『片山さつき、5日の予算委員会で四国を“離れ小島” と発言したことを質され、(気分を害した人がいたら)申し訳ないと発言』
とか『生活保護は生きるか死ぬかのレベルの人がもらうもの」との発言については“不快に思われた方がいたら申し訳ない”と陳謝』とかだな」
「それに加えて、政治資金収支報告書の繰り返しの訂正」
「最初は入金分が34件、支出分が9件」
「で、“口利き疑惑”に次ぐ“文春砲”が炸裂したの」
「“文春砲”半端ねぇ、ってか。今度は何?」
「事務所費のごまかしらしいわ」
「片山さんが支部長を務める自民党東京都参議院比例区第25支部の所在地を例の税理士の親族が所有するマンションの一室として届け出ているのに、電話番号は議員会館の片山さんの部屋になっているって記事」
テレビ各局で論客を張ってきただけに、広海たちのターゲットになりやすい。
「それって、虚偽申告が問題?」
「いや、そんな単純な問題じゃないよ。所在地と連絡先が違うって意味を普通に考えると、片山さんと連絡を取るのは議員会館の方って見るのが自然。で、所在地を税理士の関係の部屋にするのは何のためって疑問は、自然な形で税理士側にお金を払うため、って考えれば辻褄が合う」
「何か複雑になってきたけど、片山さんはそのマンションを使っていないっていう理解でいいのよね?」
「何だ、分かってるんじゃないか。お金を還流するのが目的なんだ。自民党の支部だから、家賃を支払うのは片山さんじゃなくて自民党。家賃は政治献金の代わりに党に交付される政党交付金から充てられるんだろうな。議員宿舎や議員会館を支部にしたら、党が家賃を払う必要はないだろ」
「片山さんと税理士の南村さんとの関係性はイマイチ見えないけれど、例えばの話、片山さん自身が言う通り『税理士に秘書給与を払ったことがない』というのが事実として、秘書給与の代わりに実体のない架空の事務所の家賃としてお金が動いていた可能性はあるわね」
「もうひとつはキック・バック」
「キック・バック?」
「例えば、家賃として税理士側に毎月20万円支払われる。そのうちの半分の10万円を片山さん側に送るって構図だな」
「ずる~い。えっ? それが政党交付金から払われているんなら、元々は税金ってことでしょ」
「そうだよ」
どうやら千穂と耕作は2人きりの時には政治の話をしないようだ。
彼女の疑惑はカレンダーにも及んでいる。片山氏のホームページには2012年の「片山さつきカレンダー」を1枚につき240円分の切手、2枚目以降を160円の切手で販売することを掲載していた。国会で立憲民主党の逢坂誠二・衆議院議員に追及されると、片山氏はこう弁解した。
「野党の時代の最後に、ドジョウよりウナギというキャッチフレーズでカレンダーを作り、後援会やパーティでお配りしました。(ネットで検索すると)出てくるので、誤解を招くのできのう(10月31日)消しました。お恥ずかしいですけれど、全く売れておりません」
全く売れていない割には12年だけでなく、その後も13年、14年と片山さつきカレンダーは作成されている。一般のフェイスブックやツイッターには、「2013年カレンダーを戴きました」「お顔の写真がドーンと見えインパクトはありそうです」などという書き込みも見られる。片山氏は動画で「3万分刷った」と語っており、かなり拡散した様子。
片山さつき地方創生相の書籍を宣伝するためとして、さいたま市内に設置されていた看板が、さいたま市の許可を受けていなかったことも分かった。その後、看板は真っ白になっていた。
無許可で設置されていたことについて、片山大臣は「業者に広告費用を払っているだけなので、条例に関する話はうちに来ない」と弁明していた。
• さらに、片山さつき地方創生担当相が、自身の政治資金収支報告書に事務所の名前を誤って記していたことも衆院内閣委員会の質疑で明らかになった。無所属の今井雅人議員が、片山大臣の報告書の記載をもとに「事務所『オネスト』の代表者は」と質問。片山大臣は、「お言葉を返すわけではないが、『ネオスト』ではないですか」と、今井議員の言い間違いだと指摘した。
片山大臣の答弁に、今井議員はいったん、「あ、間違えました」と引き取ったが、実際は報告書の記載が「オネスト」だったことに気づき「ちょっと待って」と、再確認。片山大臣は「(事務所名の)打ち間違いがあるかも…」と釈明したが、今井議員が「報告書が『オネスト』になっている。あなたが間違っている!」。想定外のブーメランに、片山大臣は「すみません。私が間違えたかもしれない」とのらりくらりと優柔不断に答えている。少なくても片山大臣の報告書に記載された内容が「オネスト」=「正直「「実直」でないことだけは明らかになった。
「片山さんのHP見てみたんだけど、笑っちゃうんだ」
「何よ。またおふざけ?」
「全然。まじめな話。看板問題で追及されたのと同じ写真データがあるのもそうなんだけど、『片山さつきの政治家日記』ってコーナーが上段にあるんだけどさ、2011年の9月22日が記念すべき第1回。最新が2013年の8月22日。ご丁寧に第8回って見出しがあるんだよね。つまり、5年以上日記付けてないワケ」
こういうところも耕作の耕作らしい所以だ。
「それってもはや日記って言えないんじゃない? ここ5年間、政治家やってないってこと?」
すかさず、広海がツッコむ。
「相変わらず、手厳しいな」
「看板問題や、政治資金収支報告書の誤記載? っていうか、間違いが多過ぎて、日記なんて書く暇ないんじゃない」
「手厳しいのは、チーちゃんの方じゃん」
「ツイッターはほぼスタッフの投稿だったんだけど、数が激減。かたや、地方紙などのインタビュー記事はこまめに紙面のコピーをアップしている。優先順位が何かよく分かんないね」
耕作の呆れて肩をすくめるポーズは。まるで外国人のようだ。
「私も、“課長”から聞いてホームページをチェックしたんだけど、彼女『さつきチャンネル』ってユー・チューブもやっているのね。今年の参院予算委員会の答弁がアップされてないのはともかく、『コトの本質はコレだ』『あなたの質問にお答えします』ってふれこみの割には、自分の言いたいことばっかり。しかもさ、最新の情報として載ってる動画のほとんだが4年前とか、5年前とかのもの。逆に心配しちゃうわ」
「秘書もとっかえ、ひっかえ出入りが激しいって話だから、サイト担当のスタッフも同じじゃね」
と幹太。
「とにかく、好奇心のある人は一度訪問することをオススメしまーす」
千穂は、ゼミ内をザワつかせた片山議員のホームページの話題をまとめてしまった。
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