執行部と部活勧誘の一揉め

学校の一部として現在利用されている森の中で神宮寺の僕たる獣人は気を伺っていた。

それはこの森の奥に何らかの魔力の網に関係するものがあると勘付いていたに他ならない。



(必ずや、主人様の命に答えてみせます)



彼女自身、元より捨て駒なんて分かっている。

しかし、そんな中でも彼女は自分の予想を上回る以上の働きをしようと頑張っていた。

しかし、そんなのは一瞬で崩れてしまうものだった。



(人の気配?)



彼女は気配を感じて息を殺す。

元より身を潜めていたのでバレるわけもないが、魔力の網もある。それを通じでバレてしまう可能性もあり、彼女は細心の注意をはらいながら身を潜めていた。

そして、気配の場所を探るとそこには一人の人間がいた。

体格などからして少女。基本的に布で顔は隠されており、見て取れる情報は目と特徴的なポニーテール。見る人が見れば人は少女をこう呼ぶだろう。


くノ一と



「そこにいることは分かってるんだよ…それとも、私とかくれんぼをする気?」



その言葉を聞いた瞬間、獣人の少女は背中が底冷えするような気分だった。

バレるはずがない、なぜならくノ一の少女との距離は軽く百メートル近くある。それこそ獣人の鋭い五感がない限りこんな夜の森の中で一人の人間を認識するなど不可能に近いのだ。

そう、それこそカマかけられただけ、そう考えれば自然だ。この距離であの声の大きさでは獣人相手でもない限り声が届くわけないのだから。



(しかし、もしだ…もし、仮にあの女が私を獣人だと認識してわざと私にギリギリ聞こえるようにしたのなら…)



最もないと言えるような可能性…しかし、あり得なくもない話。

事実獣人の少女は帰還者としてみてみると強さは丁度平均くらい。獣人という種族の関係上で見てみると確かに強いがあくまで強い止まり。

そう、もし相手が帰還者なら半分の確率で負けるということだ。



(しかし、ここで怖気ついては主人様に合わす顔が…)



そう思ってより息を潜めた瞬間…目が合った。

くノ一の少女は真っ直ぐな目で獣人の少女を見ている。そう、もうバレてるぞ言わんとばかりにはっきりと…。

獣人の少女は動いてしまいそうになる。

しかし、くノ一の少女が本当に気付いているとは限らない。そう考えて動けない。

だが、そんな回る彼女の思考も途端に意味のないものに変わる。



「ダメだよ、隠れる時はもっと自然にしなくちゃ」



その瞬間、獣人の少女の耳元にそんな声が聞こえる。とっさに前へ跳ぼうとするが判断が遅れて足を掴まれる。

そのまま、木に叩きつけられて獣人の少女は力が抜ける。そこからは流れるように腕を握られて拘束される。



(こんな緩そうな拘束なのに動けない…)



獣人の少女は拘束から抜けようと足掻くが一向に抜けられそうにない。

それどころか少女の元に影が迫ってきて影によって拘束されていく。



「さて、君はどうやって来たのかな?未登録異世界人の獣人の女の子」



彼女を拘束している存在は先程のくノ一の少女だった。

くノ一の少女は転移の魔法を利用して獣人の少女の背後に回り込み、現在、影の魔法で拘束していた。



「くっ…誰が話すものか」


「そっか、ならこれでも?」



くノ一の少女は手を上げて握るように動かす。それと共に影は獣人の少女の体を締め付ける。その力は僅かに体が軋むような音が体の内で鳴るほどだった。



「…っっ!」



僅かに獣人の少女の顔が歪むがくノ一の少女を睨みつけて首をただ振るだけだった。

それを見てくノ一の少女は手の握りを強める。

それに合わせて影は締め付けを強くして、軋む音がくノ一の少女にまで届くレベルに達していた。

獣人の少女は痛みで叫ぶことすらままならなく、悲痛の表情を浮かべてただ、話さないという意思表示を示すだけだった。



「痛みじゃ、吐かないか。全く、話したら楽なのにね。苦痛だけじゃなくて君達の罪の重さ的にもね。だから、お願いだから早く吐いてくれないかな?」


「っっ!」



獣人の少女はその言葉に一瞬、迷う。

そう、これは自分という存在が未登録という違法によって起きたことだ。下手にここで話さなければ自身の主人である神宮寺にまで罪が重くなる。

しかし、それで本当に自分たちの罪が軽くなる保証はない。ならば、最強と疑わない自分の主人を信じた方がいい。


そう考えてもう一度首を振る。


その答えにくノ一の少女は一瞬、目を見開き顔を俯かせる。



「そっか、なら眠って」



そう言うと手を思いっきり握る。しかし、その瞬間、変化が起きた。

何かが弾けるような音と共に獣人の少女の手のひらが彼女の胸に迫っていた。



(しまった…!)



そう後悔した時には遅い。

くノ一の少女は心臓部に近い場所への衝撃で一瞬だけ血の循環が止まり、脳に空白の瞬間ができる。

そのまま、流れるように拘束されて動けなくさせられる。



「形成逆転ね」



獣人の少女のその一言が発せられた時には先程とは逆の立ち位置になっていた。

くノ一の少女は地に擦り付けられて、その上に獣人の少女がくノ一の少女を拘束するという形に。



「あなたは何者なの?」


「…そうね、一応言っとこうかしら」



くノ一の少女はそう言って笑う。

まるでこの状況が痛くも痒くもないかのように。



「私は『執行部』の人間であり、あなたたちのような異世界関係の犯罪者を取り締まる者…まぁ、正確には魔法関係の取り締まりでもあるけどね。そこら辺は別の場所がやってくれてるからなぁ〜」



適当な感じで答えるくノ一の少女だが、そこに嘘を吐いている様子はなく全て本当のことを言っている。



「なら、この魔力の網は貴方達の仕業?」


「あぁ、これね。どうだろう?確か『隠密部』とかのエース君がやったとか噂は来てるけど分からないなぁ〜」



やはりくノ一の少女は適当に嘘は言わずに答える。

しかし、様子を見る限り諦めた様子もなく飄々としているだけだ。



(おかしい…なんでこんな状況で冷静でいられる。そして、何よりどうしてここまで情報を…)

「不思議?」



そこまで行き着いた獣人の少女にまるで心を読んだかのようなタイミングでくノ一の少女が口を開いていた。

その一瞬の思考の隙間が獣人の少女の隙を生んでしまった。くノ一の少女を捕らえる感触が消える。

まるで、消えたかのように…、それと共に獣人の少女に影が伸びて拘束する。

しかし、すぐに影は先程とは同じように砕ける。

だが、次の瞬間には再び獣人の少女は拘束される。それは先程までの影の拘束ではなく、直接くノ一の少女の手によっての拘束だった。



「なるほど、先ほどから魔法を壊されると思ってたら、やはり『魔法破壊ディスペル』を使ってたんだ。おまけに魔術ねぇ〜」



魔術、それは獣人の少女の腕に傷として刻まれている陣の事を指していた。これは異世界で魔術回路を持ってなくても誰でもその魔法が使えるように開発されたもの。

要するに所謂、魔法陣というものだ。彼女はこれを使って『魔法破壊』の魔法を使用していたのだ。



「さて、こんな危ない傷は癒しちゃおうか」



くノ一の少女は懐から治癒の魔術の紙を取り出して傷を癒す。この時点で獣人の少女にもう『魔法破壊』は出来なくなる。



「さて、私は執行部の中では優しい部類だけどさすがにこれ以上は容認できないかな」



そう言ってくノ一の少女は影を呼び出して獣人の少女を気絶するように締め付ける。



「これで仕事は終わりかな?」


くノ一の少女がそう呟いた瞬間だった。

近くで物音がする。それに対してくノ一の少女は大袈裟に小太刀を抜いて警戒する。

どこから来てもいいようにゆっくりと周りを見る。

しかし、物音がしたのにも関わらず一切、気配を感じないことに余計に彼女の不安を煽る。

なぜなら、彼女は姿形の通り諜報系の仕事の方が得意であり、近くに人がいれば嫌でも気付くにもかかわらず一切の気配がないのだ。



「だれ?」



そうして、しばらくの硬直の後、ようやくくノ一の少女は気配を見つけてポツリと呟く。

そうして、出て来たのは有明 楼だった。



**



夜中に抗戦しているなと思い見に来てみたら、噂ではよく聞く『執行部』部長であるくノ一がいた。

先程まで神宮寺の所の獣人と戦っていたのは知っていたが、まさかその相手が『執行部』の部長とは思いもしなかった。



「あんたはなんでこんな所にいるんだ?」


「貴方こそ、今は寮則で外に出てはいけないのでは?」


「いや、なんか音が聞こえたから」


「それは悪かったわね。でも、こんな風に私みたいな真っ当ではない人間に会うかもしれないから、その好奇心は良くないわ」



うん?あれ、ひょっとして同業者だと気付いてない?いや、本当にそうなのか?まず、あの諜報と暗殺においては右に出る者はいないとされる『執行部』部長だ。

多分、敢えて他人のフリをしてるのだろう。

流石に神宮寺の所の獣人から情報が漏れるかもしれないからな。こう言ったところで時折抜けてしまう俺とは大違いだな。



「あ、あぁ忠告助かる。今度からは気をつけるよ。それで何をしてたんだ?」



俺も敢えて好奇心旺盛なふりをして乗ってみる。



「はぁ、そう言った好奇心がいけないと言ったのだけど…まぁいいわ。この獣人は未登録と呼ばれる、要するに無許可でここにいる人でね私がそれを取らしめようとし捕らえたの」


「なるほど…」


「ふふっ、今回だけよ。次からは好奇心でこんなところに来ないように」



そう言って彼女は獣人の少女を連れて去って行った。

おそらく、執行部の本部に行くのだろう。場所は俺の所属する部署とは違うのでよく分からないがわざわざ遠くまで大変そうだな。



「おっと、いけね。魔力の網の補修しないと…全く、好き勝手暴れるからバックアップ取らないといけないな」




**



夜が明け、俺はゆっくりと体を伸ばしていた。

そして、再び昨日の夕方に恵からもらった資料を読む。


やはり、何度見ても…いや、何度も見るたびに確信に変わっていく。



「やっぱり、これは他人事では片付けられないな」



俺はそう言っていつものように朝の作業を済ませて食堂に向かうのだった。



「兄さん、今日は珍しく早いですね」


「おう、ルナはいつもこんな時間から起きてるのか?」


「はい、兄さんを待たせるわけにもいかないので」


「そうか」



今の時間は大体、5時で食堂の方は未だ昨日の夜にされた下準備しかなくとてもじゃないが未だ出せないらしく席にだけ俺たち二人は着いていた。

他二人はいつも俺よりかは早いが流石にこんな時間には未だ起きてないらしい。



「そうだ、部活だが入っても大丈夫だそうだ」


「えっと、部活って何でしたっけ?」



俺が端的に昨日部長から言われたことを言うとルナが首をかしげる。

そういえば、ルナは一度も部活に入ってないし関わること少なかったので部活そのものに対する知識がなかった。

昨日とかに説明されたような気がするんだけどな。



「部活はあれだよ…と言おうと思ったが、ネタ方面でも真面目でも説明しにくいな」


「兄さん…普通に真面目に言ってください」


「あはは、まぁちょっとネット先生の言葉でも借りるかな」



俺はそう言って携帯を開くと一件のメールとホーム画面の変化に気付く。そこに映るのは寝ぼけ眼で僅かに青みがかった黒髪の少女の写真だった。


そして、メールの中身には…



『気に入ってもらえたかな?恵より』



アホかあいつ。こんな下らんことに…いや、まぁいいか、あいつもあれくらいの余裕ができたということだ。

俺はそう思ってホーム画面の写真を見て笑ってしまう。

何故なら、彼女の写真もまた眠そうながら必死にぎこちない笑みを浮かべてるのだから。



「兄さんってこの人が好きなんですか?」


「へ?」



すると、突然に俺の携帯の画面を横から見ていたルナがそんなことを宣う。



「いや、どうしてそういうことに?」


「えっと、今写真を見てにやけてましたよね?」


「にやけって…そうやって勘違いされてもおかしくないか」



実際、恵とは異世界に行く前からの知り合いだったしな。

あいつの家庭環境を知る身としては嬉しいけど…そこに恋愛感情があるかどうかは別だ。

そこはあいつの問題ではなく、俺の問題ではあるがな。



「確かに…友人としては好きだが、俺にとっては眩しすぎるくらいだな」


「…そういえば、昔もそう言ってましたね」



このとき、ルナの口から何かが出かかっていたような気がした。しかし、それは多分…俺がよく知るものなのだろう。



「あ、そういえば部活のことだったな…えっとなになに、共通の趣味などの集まりのことらしいな」



俺がそう言うとルナは首を傾げていた。

それこそ盛大に…豪快に…いや、豪快はおかしいか。



「えっと、友達同士でやればいいのにわざわざなんでそんなことをするんですか?」


「あぁ、そこか。今から言うのは俺の勝手な解釈で社会に出てからのサークルとかには当てはまらないと思うがいいか?」


「はい、聞かせてください」



俺は真剣なルナに押されて話し出す。



「学校での部活というのは集団行動や上位関係に触れるための場所だと思ってる」


「それだと、うちの学校は新しいので当てはまらないのでは?」


「いや、そうでもない。実はこの学校は新しいのもあって転校してる学生というのは少なからずいる…いや、魔法という最先端を知るために結構の人数が転校試験を受けて入ってきている」


「そんなことできるんですね」


「まぁ、これは上の方が魔法に関することは人がたくさんいた方がデータを集めやすいという面から行ってると思うがな」



俺はそうやって話してて気づく。

話が脱線してると。俺は急いで外れた線路を戻そうと話し出す。



「まぁ、そこはおいおいとして部活というのは他にもコミュニティーの形成や挑戦心の促進の為だと思っている」


「挑戦心の促進…ですか?」


「あぁ、そこが分からなかったか。それは、例えば部活でいきなりテニスとか興味を持って始めることも挑戦心とも言えるな。そこからテニス部というコミュニティーを築き、その部活内で色んなことに挑戦する心を作る為だな」



俺の説明に納得したようでルナは何度かうなずく。

彼女は一度理解すればかなり深いところまで理解してくれるので説明はこれ以上必要ないだろう。



「ということは、部活は自分のやってみたいことをやってみろということですか?」


「その通りだ。できれば俺と一緒とか考えずに自分の興味の持ったところに入ってくれ」


「…そうですね。たまには自分の趣味を持つのも悪くないかもしれません」



なんか、こうしてルナを見てると子供の成長ってこういうことなのかな〜って思ってしまう老けた自分がいるな。

そうして、ロナやセイに説明したりもしたが、何事もなく放課後まで時間があっという間に進んでいく。




**



放課後となり、校門までの道のりで部活などを作るために必死に勧誘する生徒で一杯になっていた。



「あれ、今日は兄弟と帰らないのか?」


「ああ、部活の許可をもらったからそれぞれ勧誘してる人たちの中に突撃しに行ったな」



俺は裕太と一緒に歩いていた。

俺も部活には入ろうと思っているがなんとなく、裕太と歩いた方が何かあるような気がしていた。



「ほら、噂をすればあそこに」


「あれはルナちゃんだっけ?」



俺が指差す先には裕太が言ったようにルナが話していた。

ていうか、なんでお前がルナの名前を知ってるの?



「お、おい。そんな目で見るな!ただ、可愛い子はチェックしてるだけだって!」


「それはそれで問題だ!」


「そこまで!?」



そんなコントをしつつというか、色々と問題があるような気がするけど…。ルナの会話に魔力の網を通して聞く。

と、盗聴じゃないぞ普段は使ってないし問題があれば先生を使えばいいしな。



『テニス部って確かスポーツでしたよね?』


『はい、知らないの?』


『はい、恥ずかしながらそう言ったことに縁のある暮らしではなかったので』


『どう?よかったらこれを機に始めて見ない?』


『全然ルールとか分かりませんがいいのですか?』


『え!有明さんも入るの!?よろしくね!』


『え、あなたは確か同じクラスの…』



そんな感じでルナにもちゃんと友達ができてるようで安心だな。

あとはロナとセイだけど…



「お、おい!あれはお前の弟君じゃないか?」


「うん?騒がしいがセイがあんな場所に…」



俺は裕太の指差す人だかりの方を見る。

セイがそんな野次馬根性あるわけもないし…。



『あぁ!お前は何も分かっちゃいねぇよ!』


『セイ殿こそ!ロリこそ至高と何故できないでござるか!』


『何言ってんだ!赤髪の美魔女がいいに決まってんだろ!それかカッコいい魔道士が至高だろ!』



いましたよ…騒ぎの中心でしたよ。

おまけにナチュラルにお前の性癖を暴露するな。



「な、いただろ?」


「今すぐ忘れたい…」



そうして、事態が進行していき最終的には…



『お前、中々分かってるじゃないか』


『セイ殿こそ、感服したでござる。是非、同好の士として日本文化同好会に入る気はないでござるか?』


『フッ、いいぜ。よろしくな』



セリフはカッコつけてるけどなんかダセー!

というか絶対、その日本文化はアニメとか二次限定だろ!



「と、とりあえず別の場所に行こうか」


「そうだな、でもなんかカッコよかったな」


「そ、ソウダネー」



うん、純粋な裕太の目が羨ましい。

俺はそうやって目を背けてると次はロナを発見する。

彼女はというと…



『ほう、女のお前にこの部活は無理だな』


『やってみなくては分からないだろう?』


『ならば、その力!この場で示してもらうぞ!』



そういったやり取りをしてなんかバトってた。

いや、いきなり殴り合いの勝負とか血生臭いな。



「あれってロナちゃんじゃないか?」


「そうだな…あいつは遠くは行ってしまったよ」


「おい、なんだ明らかに死んだ目は!」



仕方ないだろ…いきなりバトル漫画みたいな青春を送ろうとしてる姉に対してどう反応すればいいか分からない。

というか、『バトル同好会』って何?


俺はそう思って魔力の網で詳細を確認する。


魔法での戦闘を一つの競技とするために安全などを測ったものにするための研究会か…。

まぁ、血の気が多い以外はまともそうだからいいか。



「それで、お前はどこに入るんだ?」


「そうだな…今日はとりあえず一通り見てから決める予定だけど…」



その時、ある揉め事が目に付く。

それは、同じクラスの女子が目に映ったからに他ならなかった。



「あれって戸隠さんじゃないか」


「そうだな、揉め事っぽいな…って同じクラスだから当然だけどお前が名前を覚えてると怪しいな」


「それは偏見だ!」



俺は裕太をからかいつつ、揉め事を見てみる。

戸隠と裕太が呼んでいた少女の本名は戸隠 凛。俺たちと同じクラスだ。



『なんでダメなの?』


『いやー、だって魔法研究会なのに4組…じゃねぇ〜』


『それは、不公平だと思うのだけど』


『正直、邪魔なんだわさっさとどっかに行ってくんないかな』



そう言って、戸隠を突き飛ばす男子生徒。それを嘲笑するように見る数人の同じ研究会であろう生徒達。



「あいつら!おい、楼…ひっ!」


「おい、俺の顔を見て怯えるとかいい度胸してるな」

 

「いや、それは悪いとは思うが…お前…今一瞬だけすげー顔してたぞ」


「そうか…うん、あいつらの顔は覚えた」



俺はそう言って先程の研究会の人達を見る。

多少の校則違反くらいなら見逃すけど、これは些か度が過ぎてるもんな。

だって、組ごとの差別は禁止されてるもんな。



「…楼は絶対、怒らせないようにしよう…多分俺の話聞いてない」



そうやって俺は一仕事のために俺は寮に帰ることにしたのだった。

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