吐く糸を絡めて

「坊ちゃま、お早うございます」


 箒を手にじっと庭の繁みを眺めていたあの子はお下げ髪の頭を下げた。


「何を見ていた?」


「蜘蛛の巣ですわ」


 思いがけず笑顔が見られた。


「あたし、来世は蜘蛛になりたいんです」


「あんな気味悪いもの」


「自分で家を作れますもの」


 伏せた瞳が胸に絡む。


 *hafen@お題bot? @hafen_odaiさんの以下の課題からの創作です。

「手を伸ばしたら届くはずだったけど / この気持ちを何と言い換えよう / 視線を合わせる些細な事さえも苦しくて / 触れたら壊れてしまいそう 【リクエスト/少年の淡い恋心】」

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